研究課題/領域番号 |
18K00467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森田 直子 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40295118)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 19世紀フランス / 絵物語 / 漫画 / 旅 / 交通機関 / 物語メディア / 初期コミックス |
研究成果の概要 |
本研究では、19世紀フランスの物語漫画がなぜ旅・交通をテーマとして発達したかを多面的に考察した。まず、物語漫画の先駆者スイス人R.テプフェールが、単に旅をテーマとするだけでなく、移動のスピード感、追跡場面、夢の中の旅という入れ子構造など、多くの技法を生み出したことを示した。次に、その影響を受けたフランスの物語漫画について、馬車、蒸気船や列車などに乗る身体感覚を表現したカム、アルプス観光を諷刺したギュスターヴ・ドレ、第二帝政期フランスの交通を物語に取り込んだレオンス・プティの作品を調査した。滑稽な旅物語に工業化・都市化する社会への不安が描きこまれた結果、漫画独自の表現として結実したのを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フランスの出版界では、技術上の革新と読者層の拡大などにより、1830年代前後から総合情報誌や諷刺新聞、挿絵本など、絵入りの出版文化が花開いた。物語漫画は、社会諷刺と連載小説の中間領域として、愚かな面を持つ主人公を通じて社会を諷刺しつつ、絵と文の相互作用によって時間・空間の独特な表現を開発した。近代的な旅・移動という題材は、漫画というメディアの特徴とうまく合致していたと同時に、工業化、都市化する社会をうまく生きられない人々をアンチヒーローとすることで、スピードが加速する都市生活のトラブルやトラウマの貴重な証言となっている。
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