研究課題/領域番号 |
18K00476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩塚 秀一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70333581)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 歩行 / 都市 / 制約 / 自由 / 歴史的建造物 / 空き地 / 鉄道 / 散歩 / 遊歩 / 舟旅 / 歩行理論 / 逸脱 / 速度 |
研究成果の概要 |
歩行の批評性と創造性の源泉は経路の自由にあると考えられる。まず、散歩や遊歩の自由を裏面から照らし出すため、経路があらかじめ定められた移動に焦点を絞って考察した。その結果、身体の移動を制限する〈実存的制約〉によって主体が出会っているのは〈未知なるもの〉であり、それこそが主体の世界理解や行動の決心において大きな役割を果たしていることが明らかとなった。また、グラックの都市論を「空き地」や「モニュメント」との関連において分析し、この作家における都市の歩行が時間の堆積から逃れ自由を求める営みであることを具体的に示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果、身体の移動を制限する〈実存的制約〉によって主体は逆説的に世界への理解を深めていることや、都市の遊歩における自由は空き地の存在がもたらす時間の堆積からの逃避に由来していることが明らかになった。本研究においては、効率重視の価値観のもとスピードアップするばかりの現代社会において、緩慢さや逸脱のもつ意味について再考することを試みた。「歩行」は、環境による制約を受けつつも主体による選択の自由を確保した営みであり、また、外界との身体的交感の機会でもあるという意味で、効率と速度に支配された現代社会の価値観を問い直す際に、多様で豊かな視点を提供しうるものである。
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