研究課題/領域番号 |
18K00482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 愛知県立芸術大学 |
研究代表者 |
大塚 直 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (70572139)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ホルヴァート研究 / ヴァイマル共和政 / 女性の自己実現・社会的転落 / 喜劇・戯曲分析 / ファシズム・ナチズム / 群衆・大衆・小市民 / 亡命文学・抵抗文学 / 政治難民・ユダヤ人問題 / ヴァイマール共和政 / ナチ時代 / 民衆劇 / バイエルン革命 / 女性差別 / 戯曲分析 / 抵抗文学 / ホルヴァート / 難民 / 亡命 / ナチ娯楽映画 / 政治難民 / オーストリア演劇 |
研究成果の概要 |
劇作家ホルヴァートは1933年のヒトラーの政権掌握後、1938年にパリで事故死するまで約五年の間に九本の戯曲を執筆する。これらの作品は同時代の政治難民・ユダヤ人迫害の問題を取り上げてはいるが、多くは喜劇であり、また改作劇であるため、受容史的に低く評価されてきた。本研究を通じて、後期時代の彼が辛辣で社会批判的な年代記作者という以前の立場を捨て、個人の罪や良心の問題を描く倫理的・形而上的な作家へと変貌を遂げたことが分かった。また最晩年の構想「人間の喜劇」では、変革の時代を描きながら同時代人に新しい〈人間性〉を呼びかけるなど、ナチ政権と対決する彼の仕事の意義が明らかになってきた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オーストリアでは国民的作家の扱いを受けながら、日本ではまったく知られていない劇作家ホルヴァートの後期戯曲について、ナチスに対する抵抗から生まれた〈人間性〉の希求という彼の主要テーマを明らかにした。本研究から、寓意的な手法で普遍的な人間のあり方を描くハプスブルク伝統の舞台芸術について理解が深まると同時に、マス=メディアの言説や群衆によって馴致されてしまう個人など、ヴァイマル共和政時代に始まり現代に通じる社会現象を考察する上でも重要な知見が得られた。さらに政治的・文化的他者に対する寛容の精神など、彼の作品紹介・研究は今日の難民問題を考える上でも有効だと思われる。
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