研究課題/領域番号 |
18K00508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
溝渕 園子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (40332861)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 少女文芸 / メディア / 日露比較 / 文学空間 / 世界性 / 地域性 / 少女文化 / 文芸メディア / 世界文芸市場 / 少女雑誌 / 日露比較研究 / 世界文学 / 近代 / 日本 / ロシア / 文芸市場 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代の日本とロシアの少女雑誌を主たる対象として、各地域の文化や〈西洋〉の少女をめぐる文芸メディアといかに侵犯・融合しながら、今日のポップカルチャーの一翼を担う〈少女文化〉というカテゴリーへと至ったのか、その系譜を検証するものである。本年度は、コロナ禍により前年度までに遂行できなかった計画を延長し、ロシア等の諸外国にて最終調査を行い、得られたデータを〈編集〉〈翻訳〉〈比較〉の観点から分析・整理し、各論を補充しつつ成果を総括する予定であった。それにより、日本を媒介として、欧米と東アジアとを連結させ、19世紀から20世紀前半に至る世界文芸市場のダイナミズムの一端を捉えることが実現できると考えていた。 しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大のみならず、ロシアによるウクライナへの侵攻の影響も重なる中で、海外での調査の実施がきわめて困難な状況に陥り、2022年度においても当初の計画を十分に遂行するには至らなかった。こうした厳しい情勢ではあるものの、日本で可能な限り、欧米の少女雑誌の関連資料を収集し、また中国の研究者から必要資料のさらなる情報を得た。これらの内容を一部に織り込み、〈翻訳〉と〈比較〉の視点から立ち上がる日露の文学空間について、論文と口頭発表の形で成果を公表した。さらに、若手研究者らを中心に企画された「広島大学 国際交流を通した日本学セミナー~子ども向け雑誌『赤い鳥』を読む~」に研究プロジェクト主宰者として参画し、日本、中国、韓国、スペイン、ロシアの学生たちと、日本の大正期の児童雑誌を介したオンラインでの研究・教育交流を行う形で、研究成果の一端を示し、次世代の研究者の育成に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の研究の主旨は、研究の総括と、欧米と東アジア双方の少女文芸メディアを連結し、次なる研究のフェーズへと道筋をつけることにあった。だが、新型コロナウィルス 感染拡大に加えてロシアによるウクライナ侵攻による影響が重なり、研究活動に大幅な制限が生じた。2022年度に計画していたペテルブルクでの長期研修は断念せざるを得ず、また前年度までに終えているはずの欧米での現地調査実施も延期され、日本で入手可能な雑誌資料や関連論文を収集するに留まった。そのため、研究計画への影響は甚大なものとなり、遅延を余儀なくされた。 だが、前年度と同様に、オンラインによるセミナーや研究会への参加を通して研究の前進を図り、研究の理論や動向の把握に努めることにより、先行研究や理論的枠組みがより明確になったと思われる。また、2023年度は、西欧諸国及び中国での調査による資料データの補充を行い、論文や口頭発表の形で成果を公表する予定である。 さらに、若手研究者らを中心とした「広島大学 国際交流を通した日本学セミナー~子ども向け雑誌『赤い鳥』を読む~」にプロジェクト主催者として参画することを通して、研究成果を国内外の教育交流に連結させる有意義な取り組みにも従事できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実施状況及び世界情勢をふまえると、研究計画の若干の変更と、資料収集及びデータ整理の効率の向上が必要である。2023年度は、①ドイツ、スペインでの現地資料調査及び収集資料のデータ整理、②日露双方の雑誌との実証的な関連づけ及び研究成果の公表、③中国及び中央アジアの研究者との意見交換会、④〈翻訳〉をめぐる国際セミナーの開催、⑤教育交流を通した次世代研究者の育成、へと進めたい。 以上の5項目に関して、以下、それぞれに補足する。①については、すでに本年度に渡航の予定がある。また、②に関しても、助けとなるテクノロジーの知識を得たり、研究補助を依頼したりするなどの改善策を講じ、研究の迅速化・効率化を図る。③④のイベント開催をめぐっては、本年度後期の実現に向けて、各関係者と共に現在企画を進めているところである。③の中央アジアについては、ソ連文化の影響が色濃く、またシルクロードに代表される東西文化交流の結節地帯であり、中国近隣のカザフスタン等を視野に取り込むことにより、ロシアと東アジア(日本・中国)を結ぶ回路を見出し、文芸市場メディアの動態を立体的に捉えることを目的としたい。研究分担者として参加する「20世紀北東・中央アジアにおける難民と戦争捕虜の表象」(研究代表者:坪井秀人)を通してすでに研究交流があるカザフスタンの研究者にも協力を仰ぐ。⑥は、本年度も継続実施を計画している「広島大学 国際交流を通した日本学セミナー」に研究プロジェクト主宰者として参画し、自らの研究成果を次世代研究者の育成活動に関連づける。
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