研究課題/領域番号 |
18K00550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
黒田 享 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00292491)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 語形成 / 派生 / 動詞派生 / 名詞派生 / ドイツ語 / ドイツ語史 / 通時言語学 / 動詞 / 生産性 / 古高ドイツ語 / 脱文法化 / 再分析 / 外適応 / 分泌 / 歴史言語学 / 形態論 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,インターネット上で利用できる電子コーパスReferenzkorpus Altdeutschを使い,動詞から名詞を派生する諸形態素の分布の調査を行なった。ドイツ語における動詞からの名詞派生は基本的に語末要素(接尾辞と語幹形成要素)によるもので,接頭辞が密接に関わる場合が多い名詞からの動詞派生とは語形成体系上の位置付けが異なる。だが,歴史的な語の音声構造の変化(語後部音の弱化)が動詞から名詞を派生するいくつかの要素の機能を阻害し,その体系変化を惹起した蓋然性が高いことが判明した。これは名詞から動詞を派生する場合にも部分的にあてはまることで,その意味で名詞からの動詞派生に見られる歴史的変化と動詞からの名詞派生に見られる歴史的変化には共通点があると言える。(この問題については研究成果発表を準備中である) 5月には,しばしばドイツ語が持つと言われる語形態の複雑化傾向についての調査を基に,国内学会での研究発表を行い,関連領域の研究者と意見交換を行った。9月には新型コロナウイルス感染症のためにこれまで実現が難しかった海外での関連資料調査および研究についての意見交換を行い,最新のドイツ語史研究の成果についての情報を得て語形成要素の分析に用いる手法を検討することができた。 これらの活動を通じてドイツ語の様々な歴史段階における派生形態素の機能とその変化を多角的に捉え直し,研究成果全体を俯瞰するまとめ作業を開始した。この研究はドイツ語以外の言語の動詞派生現象についても目を配りつつ行い,その過程でデータ源となるテキストの語用論的性格による分布の違いがあるという語形成研究上重要な着想も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
広く社会的に新型コロナウイルス感染症対策が進展したことにより,国内外の関連領域の研究者との意見交換や国内外での資料調査が行えたため,令和3年までの研究プロジェクトの進捗の遅れをかなり取り戻すことができた。それでも,研究計画立案時の社会状況が完全には回復せず,研究プロジェクト全体の最終的なまとめまでは至らなかったため,研究の進展は計画よりやや遅れている。これまでの研究成果を基に最終的成果をまとめるため,プロジェクト期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の遅れはわずかであるため,今後の研究において取り組むべき課題は多くない。次年度は本研究でこれまでに得られた語形成研究上の知見を見直し,研究成果全体を俯瞰してまとめる計画である。また,今年度の研究で得た動詞からの名詞派生についての知見を踏まえ,国内または国外での研究発表を計画している。最終的な研究のまとめにおいては,ドイツ語の様々な派生類型が持つ共通点・相違点を体系的に位置付けることを試みると同時に,語形成研究の手法についても考察を行う。
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