研究課題/領域番号 |
18K00596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大西 博子 近畿大学, 経済学部, 教授 (60351574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 江蘇省 / 通州方言 / 入声 / 舒声化 / 呉語 / 江淮官話 / 入声調 / 二音節変調 / 声調 / 変調 / 南通方言 / 中国語方言 / 通州 / 南通 / 金沙 / 二甲 |
研究成果の概要 |
中国語には、かつて入声と呼ばれる声調があった。しかし、現代中国語には、一部の方言を除いて、すでに消滅してしまっている。通州は、江蘇省南通市に位置する市轄区。南方方言の呉語と北方方言の江淮官話とが交接する地域で、入声が消失していく過渡的な段階が観察できる。本研究は、こうした現象をテーマに、現地の方言調査で得られた録音データの音響音声学的分析を通して、舒声化の分布状況と進行パターンを明らかにした。その結果、通州方言においては、入声音節の長音化が舒声化を促す最大の要因であることがわかった。しかし、長音化の進度には、地理的差異や年齢的差異がみられ、長音化を促す要因についての解明は課題となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
入声舒声化に関する研究は、北方官話方言の中で唯一入声という声調を保持している江淮官話の研究者の中で盛んに行われてきた。本研究が対象とする通州方言は、呉語と江淮官話とが交接する地域に分布するため、周辺の江淮官話で発生している舒声化ほど進化していないものの、すでにその傾向は十分に観察できる。本研究において、舒声化傾向(つまり舒声化の初期段階)の発生パターンや発生メカニズムが明らかになったことで、江淮官話における入声舒声化の発生要因を裏付けるデータが提供できた。このことにより、官話方言(現代中国語)における入声のより早期の姿が再構築でき、入声がなぜ消滅したのか、その謎に一歩迫ることができたと考える。
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