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第二言語としての日本語の物語文における発達の普遍的・個別的特徴に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00713
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02090:日本語教育関連
研究機関愛知教育大学

研究代表者

稲葉 みどり  愛知教育大学, 教育学部, 特別教授 (50273298)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード物語文 / 第一言語発達 / テキストマイニング / 共起ネットワーク / Frog Story / 物語構造 / 局所構造 / 第一言語習得 / 第二言語習得 / 言語発達 / 談話 / アウトプット / 日本語 / 英語 / 言語習得
研究実績の概要

本研究では、日本語を母語とする子どもと大人の発話資料を基に、物語文の物語談話構成の発達過程を解明することを目的としている。当該年度は、主に大人の物語文を幼児からの発達の到達点と捉え、子どもの物語文と比較し、その特徴の解明に焦点を当てた。物語文を書き起こしたもの(以下、テキスト)は、KH Coder 3(樋口, 2020)を使用してテキストマイニングを行い、談話構成、発話量、異なり語彙、言語表現等を子ども(9歳児、11歳児)と比較した。そして、以下の結果を得た。先ず、頻出語と共起ネットワーク分析からは、大人のテキストでは物語の局所構造(物語の個々の場面を構成する言語要素)、及び、物語構造(物語の全体を統括する「設定」「展開(起・承・転)」「結末(結)」等の談話構成要素)の両方が備わっていることが確認された。よって、大人のテキストは、結束性と一貫性が整い、物語談話の構造としての普遍性を備えたものであることが明らかになった。次に、総文数、総語数、異なり語数を子どもと比較すると、大人のテキストは、長さという発話の量的な側面で幅が非常に広い。異なり語数は個人により差異が大きく、内容的な側面からも多様である。さらに、特徴語を分析すると、大人のテキストは、創造的な作話や独創的な解釈が加わっており、それにより物語が膨らませられ、より個性豊かで味わい深いものになっている。その方法は、絵描写、直接話法、擬声語・擬態語等の言語表現によるもの、第三者的な視点からの語りにおける話者の視点の変換(客観的描写と内面に入り込む語り)、メインラインからの脱線、或いは、聞き手に疑問を投げかけるオープンエンドな結び等、多様な語りのスタイルが観察された。これらの手法により物語の独自性、個別性、創造性が醸し出されている。興味深いのは、これらの多様なスタイルの源流は、子どもの発達過程の中に萌芽が見られることである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに3歳児から11歳児までの言語分析を行い、概ね順調に進んでいる。今年度は、大人の発話を分析し、第一言語発達の過程を総括した。これは、第一言語の発達過程は第二言語習得を考える際のベースラインとなる。次年度は、第二言語発達の過程を考察する予定である。

今後の研究の推進方策

これまでに3歳児から11歳児までの物語文における言語発達について考察し一定の結果を得た。さらに、大人の発話(物語文)を分析し、11歳以降の発達についても考察した。今後は、第二言語の発話資料の分析を中心に行い、第一言語習得の発達過程と比較することにより、その特徴のいくつかを明らかにする予定である。それらをまとめて、研究全体の総括とする。

報告書

(6件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 2018 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2018

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 大人のFrog Storyの分析 -普遍性・個別性・多様性-2024

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学研究報告,人文・社会科学編

      巻: 73 ページ: 42-50

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 物語文の内容的特徴・言語的特徴の変化-3歳児から11歳児のFrog Story-2023

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学研究報告,人文・社会科学編

      巻: 72 ページ: 55-63

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 10歳児・11歳児の物語文の発達に見られる特徴-Frog Storyの場合-2022

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      教科開発学論集

      巻: 10 ページ: 27-36

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語文における4歳児・5歳児の発達に見られる特徴-Frog Storyの分析から-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      教科開発学論集

      巻: 9 ページ: 23-34

    • NAID

      120007003779

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 6歳児・7歳児の物語文の構造-共起ネットワークによる発達過渡期の特徴の分析-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学編

      巻: 70 ページ: 10-18

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語談話を構成する能力の発達-8歳児・9歳児のFrog Storyの分析から-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学教職キャリアセンター紀要

      巻: 6 ページ: 61-68

    • NAID

      40022531004

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語文の萌芽 -3歳児のFrog Storyの分析から-2020

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学教職キャリアセンター紀要

      巻: 5 ページ: 91-98

    • NAID

      40022209093

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 第一言語の物語文の分析 -ことばと談話の複雑さの発達に着目して-2024

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      第八回 学習者コーパス・ワークショップ&シンポジウム 「学習者コーパスに観る複雑さの発達」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 子どもの物語文における独自性・多様性の発達2022

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      山東大学第三回「多文化研究と学際的教育」に関する国際シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 談話の再構成能力の発達-10歳児・11歳児の物語文の分析から2022

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      日本認知科学会第39大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 幼児の物語文の分析-結束性と局所構造2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      2021(令和3)年度日本語教育学会春季大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 子どもの物語を構成する能力の発達-クライマックスから解決へ-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      第60回(2021年度)外国語教育メディア学会全国研究大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 子どもの物語文の発達過程を辿る2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      山東大学第二回「多文化研究と学際的教育」に関する国際シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 物語の展開から結末を構成する能力の発達-日本語を母語とする子どもの場合-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      日本認知科学会第38回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 萌芽期の日本語の物語文の特徴の考察-3歳児のFrog Storyの内容に着目して-2020

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      日本認知科学会第37回大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本語と英語の母語の発達過程の比較 -発話数・形態素数・平均発話長の分析-2018

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      2018年日本認知科学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書

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公開日: 2018-04-23   更新日: 2024-12-25  

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