研究課題/領域番号 |
18K01007
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | オスマン帝国 / トルコ / 福祉 / 年金 / イスラーム社会 / 近代 / 年金制度 / イスラーム |
研究実績の概要 |
本研究は、オスマン帝国において近代的な社会保障システムとしての年金制度が、いつから、どのような形で整備されていったのか、また、それがトルコ共和国にどのように継承されたのか、さらに、こうした制度が人々の生活にどのような影響を及ぼしたのかについて、オスマン帝国・トルコ共和国の公文書と公営・私営企業が所蔵する一次史料、新聞・雑誌等を手掛かりに考察し、イスラーム社会における社会保障のあり方、オスマン帝国末期からトルコ共和国初期の社会の実像、具体的には家族や就業のあり様といった人々のくらしの実態を明らかにしようと試みるものである。同時にオスマン帝国とトルコ共和国の連続性に関する議論に社会史的観点から新たな見解を提示することを目標とする。 令和4年度は、長期間の海外調査が行えなかったため、トルコ共和国大統領府オスマン朝公文書館における史料調査に重点を置き、オスマン帝国における年金制度や社会福祉関係の文書の中から時代の古いものを優先的に閲覧し、有用と思われる多くの文書をCDに収録した。特に年金制度のルーツを明らかにするため、16世紀までさかのぼって様々な史料の中から関連する文書を抽出した。また19世紀末から20世紀初頭の年金制度の運用の実態についての文書も収集した。さらに膨大な数に及ぶため収集・データベース化・分析に相当な時間を要する年金授与文書について、カタログから優先度の高い文書を選び画像を取得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
トルコ共和国での滞在期間が短く史料調査が十分実施できなかったため、予定していた史料の収集およびすでに入手した史料について不明箇所の確認作業を終了することができなかった。そのため本年度中に完成する予定のデータベース作成が進展せず、次年度に先送りせざるを得なかった。こうした状況では十分な史料的裏付けにもとづいて結論を導くに至らず、仮説を立てた段階にとどまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究をすすめるにあたっては、(1)オスマン帝国における年金制度の成立の経緯と制度の実態の解明、(2)年金制度が個人の人生に及ぼした影響の考察、という2つの大きなテーマを設定し、定量的かつ定性的な分析を行う。 (1)について、最初に制度が導入された公務員と軍人に対する年金について法律の制定・内容、運営の実態、問題点を明らかにする。主な史料としては、オスマン朝文書館所蔵の勅令、国政会議文書、枢機勅令簿、ユルドゥズ文書等の公文書とオスマン帝国法令集、官報、新聞・雑誌等を用い、データベースを構築し分析を行っていく。 (2)について、年金受給者の個人記録文書をできるだけ多く収集し、パーソナル・ヒストリーの集積から全体像の把握に繋げていく。これまで行ったカタログ調査で、オスマン朝文書館所蔵の史料の中で、特定の公務員や軍人に関する年金関連の記録が2千以上に及ぶことが確認されたので、今後これらの文書を収集し活用していく。 令和5年度は最終年度であるため、夏期にトルコでの史料調査を実施してデータベースの完成をめざし、上記史料を駆使して目標とする成果を得ることをめざす。 同時にオスマン帝国の軍事・教育・福祉という3分野の近代化について問題関心を共有するトルコ人研究者たちとの共同研究を推進し、議論を深め発展させていく。
|