研究課題/領域番号 |
18K01028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 佛教大学 (2021-2023) 京都大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
南川 高志 佛教大学, 歴史学部, 教授 (40174099)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ローマ帝国 / ローマ化 / 帝国統合 / グローバル化 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス感染症流行のためにとくに外国調査の延期を重ねざるを得ず、ようやく2023年度に最終年度の研究を実施できた。渡独してミュンヘン市のドイツ考古学研究所で資料調査するとともに、アウクスブルク市、シュトゥットガルト市、ミュンヘン市所在の博物館で出土物やラテン語碑文の調査を行った。調査は、ガリア諸属州においてローマ帝国が進めた統合の進展に関する先行学説を検証するのが主目的で、議論の重要点を成す史資料のいくつかを調べ、旧説とは異なる統合の状況を想定することが可能と考えるに至った。さらに、本研究全体のまとめと今後の課題の提示を行う作業も実施し、その成果の一端を史学研究会大会の公開講演で発表した。 本研究はローマ帝国が「帝国統合」を達成して古代世界を変えたのか否かを考察することを目的としたが、研究期間の全体を通じて、「ローマ化」の進展を軸に語られてきた帝国西半地域の帝国統合に関する学説は、20世紀末から批判されてきた「ローマ化」概念の問題に留まらず、社会変化の実態に関しても大きく改変することが必須であると判明した。まず、「ローマ化」概念に代わる「グローバル化」概念を提唱するR・ヒングリ教授と意見交換をおこなったが、教授の提案を深く理解することはできたものの、「グローバル化」によって帝国の変化を充分捉えられるとは思われなかった。また、帝国の西半地域、とくにガリア諸属州出土のラテン語碑文、考古資料を現地調査や史料集で検討し、ローマ風生活様式の進展の程度を考察したが、旧説の説く速やかな都市化やローマ化を想定することは難しく、むしろ先住者の生活様式の残存や文化の混淆状況を見出すことが多かった。数値データ化は難しいが、属州社会については地域の個性や多様性を重視する解釈へと学説の転換が必要との結果を得た。帝国支配をめぐる属州住民の心性や感情を問うのが今後の課題である。
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