研究課題/領域番号 |
18K01038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤内 哲也 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (60363602)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ユダヤ人 / ゲットー / ヴェネツィア / 改宗 / 分離に基づく共生 / 強制洗礼 / 近世 |
研究成果の概要 |
本研究では、ゲットーによりユダヤ人とキリスト教徒の間の「分離に基づく共生」が確立した近世ヴェネツィアにおいて、ユダヤ人がキリスト教に改宗した事例に着目し、その社会的、宗教的背景について考察した。ユダヤ人の改宗は貧困からの脱出や社会的上昇を目的としたが、改宗後もユダヤ社会とのつながりを維持し、両属的なアイデンティティを保持して「分離に基づく共生」の基盤を浸食していた事例や、男性改宗者の母や妻が必ずしも改宗に同意せず、改宗をめぐるジェンダー間の差異が看取できる事例もあるなど、ユダヤ人vsキリスト教徒という二元論的な解釈では捉えきれない両者の可変的で重層的な関係性について一定の展望を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、前近代ヨーロッパ・地中海世界におけるユダヤ人とキリスト教徒との関係を非対称的な「共生」として再検討しようとする近年の潮流を受け、ゲットーによって両者の空間的、社会的な分離が確立していた近世ヴェネツィアにおいて、境界を越えてキリスト教に改宗したユダヤ人に着目し、その存在を通して浮かび上がってくる「共生」の具体相を考察した点に学術的な意義を有する。こうした視座に基づく研究は、ともすれば対立か共生か、排除か寛容かという二項対立によって捉えられがちな異教徒・異宗派や異民族間の関係性を多角的、複眼的に検証するための視座を提供する社会的な意義を持ち得ると考えている。
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