研究課題/領域番号 |
18K01050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小原 淳 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ドイツ史 / 1848/49年革命 / 帝国創設期 / 亡命 / 転向 |
研究実績の概要 |
研究期間の五年目に当たる本年度は、昨年度から継続して、1848/49年革命に参加した革命家たちのなかでも、欧米各国に亡命した人びとを対象とした研究を行った。彼らの主たる亡命先は、スイス、フランス、イギリス、イタリア、アメリカ合衆国の各国であり、昨年度までの四年間で各国別の考察を行ったため、本年度はこれらを統合することを試みた。 その結果、革命家たちは亡命後も交流や相互支援を続け、環大西洋規模で人的・知的ネットワークを形成していたこと、このネットワークには多数の亡命者が結集し、活発な言論活動や組織的運動を展開した幾つかの「ハブ」があり、とくにジュネーヴ、パリ、ロンドン、ニューヨークなどがそれにあたるが、1850年代の間にとくにロンドンの重要性が増していったこと、そこでの人的ネットワークにはドイツ人革命家のみならずヨーロッパ各国の革命家・政治家が関与していたこと、1850年代末から1860年代にかけて、ドイツ本国に帰還する革命家が増えるにつれて、それまでの国際的なネットワークの縮小の現象とともに、特定のラインの交流の強化といいうる現象が起こること、またこの時期を境に、政治運動の分野を離れ、経済・社会・文化の様々な分野へと「転向」していく革命家が大規模に発生すること、しかし彼らの多くがかつての革命において掲げた理念を放棄したわけではなく、非政治的な領域において、市民社会の育成や市民的理念の称揚につながる取り組みを続けたことなどを検討した。 以上の考察から得られた知見の一部は、専門誌上において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も昨年度までと同様、コロナ禍が世界的に継続しているため、現地での史・資料収集活動ができなかった。そのため、予定していたよりも研究がやや遅れてしまった。 しかし、コロナ問題による研究の遅滞を埋め合わせるため、国内で収集可能な史・資料の収集を進め、またその成果に基づいて、本年度は下記の論文を執筆した。「山陰地方に存するドイツ関連史跡の総合的検討」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』68、2023年3月。これによって、一定程度の研究の進展をみることができた。また、本年度は以上の研究と並行して、Christopher clark, Iron Kingdom: The Rise and Downfall of Prussia,の訳書出版のための準備を進め、最新のドイツ史研究の成果の導入、批判的考察に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も、欧米各国に亡命したドイツ人革命家の研究を継続する。ただし、海外での史資料収集作業については、コロナ問題の状況を確認しつつ、柔軟に判断、対応する必要がある。 また同様の観点から、国内での史資料収集の方途をさらに模索する。 これまでの研究成果を早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所の刊行論文集、また各種の専門誌上において発表することを目指す。 また本研究に密接に関連する最新の研究として、世界的に注目されているChristopher clark, Revolutionary Spring: Fighting for a New World 1848-1849の訳出も行う。
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