研究課題/領域番号 |
18K01084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館 (2022-2023) 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 (2018-2021) |
研究代表者 |
石田 由紀子 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部考古室, 室長 (40450936)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 瓦窯 / 瓦生産体制 / 藤原宮造営 / 瓦 / 古代寺院 / 鴟尾 / 3次元計測 / 都城 / 木笵 / 造瓦体制 / 藤原宮 / 都城研究 / 交流と伝播 / 瓦生産 / 粘土紐技法 / 技術革新 / 製作技法 / 造瓦技術 / 瓦窯構造 / 製作技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は藤原宮造営という大事業に際し、瓦生産分野における技術改良や日本国内外との技術交流の実態を把握することである。R5年度は、当初4年だった研究計画をR4年度に1年延長したうえで、さらに1年延長したため6年目となる。 ①日高山瓦窯出土瓦の再整理を進めた。R5年度に、奈良文化財研究所(以下奈文研)が日高山瓦窯の再発掘調査を実施した。日高山瓦窯は窯構造や瓦製作技法からも、中国唐の影響が想定でき、本研究の主軸となる重要な瓦窯である。調査の結果、新たに5基を加えた計9基の瓦窯がみつかり、詳細な窯構造や窯の配置などの一端が明らかとなった。さらに発掘調査で大量の瓦が出土したことにより、これまで整理を進めてきた1972年の発掘調査出土資料との比較が可能となった。そこで改めて日高山瓦窯出土瓦の見直しを進めている。これらの成果については、令和6年度の奈文研の刊行物で報告予定である。 ②寺院や宮殿の造営と瓦の生産との関係について検討をおこない、論考にまとめた。瓦は言うまでもなく建築部材の一部であり、建物の建築と密接に関連している。文献史料からある程度の造営過程が判明している飛鳥寺や本薬師寺と、造営期の遺構から建設過程についての成果が蓄積されている藤原宮を取り上げ、これらの造営期間と瓦生産の開始や生産期間との関連性について検討した。その結果、これらは20年前後の造営期間が見込まれている可能性を指摘した。本研究は、当初の研究計画にはなかったものだが、これまで蓄積した研究成果をもとに新たな視点を提示することができた。 ③研究成果を一般に向けて広く公開するよう努めた。古代の瓦窯と瓦について、明石市文化博物館の展覧会図録で一般向けに分かりやすく解説する機会を得、さらにシンポジウムでも講演をした。ほかにも、一般向けの講演会や、小学校の教職員向けの学習会において成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内の瓦窯の研究については、R5年度の奈文研による日高山瓦窯の再発掘調査を受け、藤原宮の瓦窯構造に関する新たな知見を得ることができたと同時に、新たに出土した瓦とこれまで整理を進めてきた日高山瓦窯出土瓦との比較をおこなうことができた。加えて、申請者は従来から古代における瓦の生産体制についての研究を進めてきたが、そこから派生して寺院や宮殿等の建造物の建設と瓦生産とがどう連動するのかなど、新視点を加えた研究を深めることができた。以上から、国内における本研究については、着実に成果を積み重ねることができたと考えている。 ただし海外調査については、業務との兼ね合いでまとまった調査期間を確保することが難しく、今年度も実施することができなかった。 以上の観点を総合的に判断して、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は本研究の最終年度であり、これまでの研究の成果をまとめるべく以下のようにな計画で研究を進めていく。 ①1972年に調査した日高山瓦窯出土瓦については、令和5年度の日高山瓦窯の調査と併せて、奈文研の刊行物で報告をおこないたいと考えている。 ②藤原宮造瓦における新技術の導入経路に関しては、重要なカギである粘土紐技法の瓦の集成を、奈文研が所蔵する報告書をもとに継続しておこなう。発掘調査報告書データベースである全国遺跡報告書総覧を活用しつつ、今年度は併せて5日程度奈文研の書庫にて作業を進める。 ③中国や韓国での瓦の調査に関しては、可能であれば韓国の扶余や慶州で出土している粘土紐技法の瓦を中心に調査をおこないたいと考えている。ただし、今後も海外調査のためのまとまった期間を確保することが難しい状況が続くことが想定される。その場合は、韓国や中国の報告書から可能な限り類例を収集する。
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