研究課題/領域番号 |
18K01093
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
|
研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
西本 寛 愛知大学, 経済学部, 准教授 (40609757)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2018年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 放射性炭素年代測定 / 保存科学 / 熱分解GC-MS / 糖アルコール / 熱分解GC/MS / 考古学 |
研究実績の概要 |
遺跡から出土する木質遺物の多くは、土壌に長期間埋没していたことで木質組織の劣化が進行している。劣化を阻止し恒久的に保存するため、木質遺物に対し常温・常圧下でも安定な薬剤の含浸処理が行われる。トレハロースやラクチトールといった糖アルコールは、保存処理のための薬剤として使用されるが、これらの薬剤は炭素を含む有機化合物である。糖アルコールを含浸させることで遺物の保存が可能となるが、一方で放射性炭素年代測定を行ううえでは炭素汚染となる可能性が示唆される。本研究は、糖アルコールによる保存処理が放射性炭素年代測定に及ぼす影響の把握や、影響がある場合の正確な年代測定を行うための方法論の確立を目指すものである。 そこで、実際にトレハロースおよびラクチトールの放射性炭素濃度を測定し、木質遺物の年代にどのような影響を及ぼすのかを定量的に把握する。また、糖アルコール含浸木材の洗浄処理を行い、洗浄後の放射性炭素濃度を測定することで、糖アルコールの除去の可能性を探る。極微量でも糖アルコール由来の炭素が残存していると遺物の放射性炭素年代に大きな影響を与えるため、一般的な洗浄処理では糖アルコールの完全除去は困難であることが予想される。そこで、木質遺物中に微量に残存する糖アルコールの定量方法を探る。糖アルコールの定量には熱分解GC-MSを用いる。これまで、薬剤の放射性炭素濃度の測定および熱分解GC-MSを進めてきたが、当初予定よりも測定が進んでおらず、本研究目的を達成させるに十分な分析が行えていない。今後は放射性炭素濃度測定と熱分解GC-MSを早急に実施し、これらの分析作業と並行して成果報告としての論文執筆や学会での研究発表を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は木質遺物や糖アルコールの放射性炭素年代測定および熱分解GC-MSを実施する予定であった。しかし、COVID-19の断続的な感染拡大によって予定通りの測定を実施することができなかった。また、熱分解GC-MSに使用する予定であった加熱炉型の熱分解装置が都合により手配できないことが明らかになり、代替装置の選定に時間を要したことも研究がやや遅れていることの理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は作成した試料の分析、特に放射性炭素年代測定と熱分解GC-MSに注力する予定である。2023年現在でもCOVID-19の影響は無視することはできないが、研究活動が停止するほどの影響は出ないと予想される。 具体的には、トレハロースやラクチトールといった糖アルコールおよび木質遺物、比較用木材サンプルの放射性炭素濃度測定と熱分解GC-MSである。熱分解GC-MSでは、正確な濃度測定のために最適な測定パラメータを明らかにする必要があるが、この作業にはある程度の時間が必要だと予想される。早急に熱分解GC-MSを行い、濃度測定のための検量線を作成する。また、これらの分析と並行して研究成果報告のための論文執筆と学会での研究発表を実施する予定である。
|