研究課題/領域番号 |
18K01181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
川瀬 慈 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (30633854)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 映像人類学 / 民族誌映画 / アフリカ地域研究 / エチオピア / アフリカ / 無形文化遺産 / 音楽 / 芸能 / 無形文化 / 音楽職能 |
研究実績の概要 |
2022年度は5月から6月にかけてエチオピア首都のアジスアベバ、ハヤフレット地区においてフィールドワークを行い、エチオピア北部出身の世襲の音楽職能集団アズマリの音楽活動の映像記録を行った。特に、歌い手と聴衆の即興詩を通した掛け合い(歌われた内容は、新型コロナウィルスの世界的な蔓延から、ティグライ人民解放戦線と政府軍の争いをはじめとするエチオピア国内の戦争、過去、現在のエチオピア首相に対する批判、大エチオピア・ルネサンスダム建設をめぐるエジプト、スーダンとエチオピアの外交摩擦に至る)に着目して撮影し、記録映画『吟遊詩人-声の饗宴-』(撮影、編集、監督・監修:川瀬慈)を制作した。本作は12月に新宿ケイズシネマにおいて開催された東京ドキュメンタリー映画祭2022の人類学・民俗映像部門に入選するとともに、準グランプリを受賞し、高い評価を得た。本作については、拙作民族誌映画の被写体との視聴を通したディスカッション部分をとりいれつつ、編集をすすめ、国際民族誌映画祭の各種コンペティション部門への出品を開始していく予定である。3月には、共編者としてかかわった書籍『拡張するイメージ─人類学とアートの境界なき探究』を亜紀書房より出版した。アート、人類学、それぞれの領域が融合する場所で、イメージの可能性を考え、探求する11人の研究者による調査研究、制作、展示をめぐる実践と思考をまとめた。私自身は制作した研究映像を含む、イメージが人々に喚起する力を考察する論考「イメージの吟遊詩人」を本著のなかで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長かったパンデミック期間がほぼ終わりを迎え、アフリカ現地でのフィールドワークが可能となり、映画制作、著述活動、出版を順調にすすめることができた。特に記録映画『吟遊詩人-声の饗宴-』(撮影、編集、監督・監修:川瀬慈)を発表し、東京ドキュメンタリー映画祭2022人類学・民俗映像部門において入選すると同時に準グランプリを受賞したこと、書籍『拡張するイメージ─人類学とアートの境界なき探究』(亜紀書房)を出版したことは2022年度の成果であったといえる。以上を踏まえると、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
東京ドキュメンタリー映画祭において発表した作品『吟遊詩人-声の饗宴-』(監督・監修:川瀬慈)をさらにブラッシュアップし、被写体に本映像作品をフィードバック上映する様子もふまえて、長編としてまとめる。2023年度内に、国際民族誌映画祭の各種コンペティション部門への出品を開始する。さらに東京の葛飾区や墨田区においてエチオピア移民コミュニティを対象に、自身が制作したエチオピアに関する民族誌映画の上映会を行う。映像を介したコミュニケーション、他者との相互理解について引き続き検討を重ねていきたい。
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