研究課題/領域番号 |
18K01299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山下 昇 九州大学, 法学研究院, 教授 (60352118)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | フリーランス / 雇用調整助成金 / 高年齢者就業確保措置 / 整理解雇 / プラットフォーム就労者 / 新型コロナウイルス / 中国 / 労働紛争解決手続 / 雇用保険 / 雇用類似の就業 / 創業支援 / プラットフォーム / 労働時間規制 / 賃金 / 休業 / クラウドワーカー / 個別労働紛争解決手続 / 賃金支払 / 労働法 / 集団的労働紛争 |
研究実績の概要 |
2022年度は、中国におけるクラウドソーシングやプラットフォームビジネス就労者の実情について、中国に渡航するなどして現状等の情報収集を行うことを計画していたが、引き続き、基本的には文献研究が中心となり、中国の実態把握が必ずしも十分にはできなかった。 日本の状況についても研究を進めたが、コロナ禍での雇用やフリーランスの問題について、例えば、労働者への説明を著しく欠く整理解雇の有効性を否定した事案を検討した(「コロナ禍の整理解雇の有効性-アンドモワ事件」(やまぐちの労働676号4頁))。また、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いているところ、雇用調整助成金等の制度の変化と雇用保険財政の悪化について論じた(「緊急対応時の雇用保険制度の機能-雇用調整助成金等を中心に」(法の支配207号62頁))。こうした雇用における労働者保護の動向の研究は、同じように就労するクラウドソーシング等におけるフリーランスに対しても同様の保護を要請する方向性につながる可能性がある。 また、高年齢者雇用安定法の改正により、65歳以上の高年齢者に対して、創業支援等措置を含む高年齢者就業確保措置が努力義務となったが、これは、高年齢者の就業確保措置として、継続「雇用」だけでなく、フリーランスとしての就業確保を含むものである。本年度においても高年齢者雇用に関する研究を行ったが、成果は2023年度に公表する予定である。加えて、高年齢者(当時62歳)の労働災害に関する研究も行った(「農作物収穫の決起大会での腕相撲による右肘骨折の負傷の業務上災害該当性-国・山形労基署長(アンスリーファーム)事件」(社会保険労務士ふくおか)164号48頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長引く新型コロナウイルス感染症の影響の中で、デジタルデバイスを通じたプラットフォームビジネスは拡大し、フリーランス就労の広がりとその課題を浮き彫りにした。日本においても、フリーランスが加入する労働組合の問題が、労働委員会や裁判所で扱われるようになってきている。また、高年齢者の創業支援等措置についても、研究を進めており、一定程度、プラットフォーム就労者を意識した研究が進捗している。 他方で、中国に渡航して実態調査を行うことは難しいため、限られた文献調査による研究を進めているものの、本来は、2021年度を最終年度として、研究をまとめる予定であったが、中国での実態の把握が不十分であったことから、補助事業期間延長承認申請を行い、2023年度まで研究を行うこととなった。 以上の通り、日本法についても研究の進捗が認められる一方、補助期間の延長を行い、中国法の研究を進めていく必要がある。また、、東アジア(韓国、台湾等)への研究の拡大の可能性を探る点について、中国法と同様の問題から、必ずしも十分な検討が進められていない。ただし、それぞれの国での課題は明らかとなっており、コロナ収束後の中国を中心に、2023年度に研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画では、2021年度までとしていたが、新型コロナウイルス感染症の問題から、中国を含めた海外での現地調査などが十分にできず、そのため、研究期間を変更して、2023年度まで補助期間の延長を行うこととした(承認を受けた)。この延長により、中国での調査が可能になれば、現地調査を行い、これが難しい場合は、文献研究により、実態を明らかにすることに努める。一方で、2023年度においては、韓国の研究者との交流を予定しており、韓国の現状と課題等を明らかにして行きたい。
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