研究課題/領域番号 |
18K01444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (20431348)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ウクライナ / 政治体制 / 戦時体制 / ロシア / エリート / 政党 / 求心的多頭競合体制 / 政党政治 |
研究実績の概要 |
2022年度は、ロシアによるウクライナ侵攻により、当初の研究改革は大きく修正せざるを得なくなった。その中で、ウクライナの政治体制に関しては、雑誌論文を一つ公刊したほか、学会報告を行った。また、ロシアのウクライナ侵攻に関するロシア内部での意思決定過程に関して考察する論文を公刊し、国際学会でも報告した。 現在までのウクライナ政治体制研究の暫定的な結論は以下のとおりである。ウクライナの政治体制は、一貫して中央政府が脆弱であり、地方政府が強靭であるという一貫した構造があった。戦争以前には、ゼレンシキー大統領が中央政界を支配する一方で、地方では市長を中心としたローカル・エリートが中央に対抗する仕組みができつつあった。戦争は、この対抗を協調関係に変えたが、ローカル・エリートが多くの資源を持つことには変化はなかった。多くの論者の予想を超えて、戦争に際してウクライナが強靭であった一因は、このローカル・エリートが対露防衛に大きな役割を果たす体制ができたことによる。 ロシアの意思決定過程に関しては、予算形成のような通常の意思決定と軍事介入のような緊急的な意思決定を比較したうえで、一般に軍事介入が非公式な集まりで決定されやすいことを論じた。さらに、クリミア併合の決定過程やドンバス戦争への介入と今回のウクライナへの全面介入を比較して、ロシアの意思決定過程がますます個人化される傾向を示しており、これが今次の戦争でのロシアの稚拙な戦争計画にもつながった可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍がようやく落ち着きを見せつつあったが、ロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナでのフィールドワークは本研究期間内では絶望的になった。フィールドワークではなく、文書資料によって研究課題を進めなければならなくなった。とはいえ、戦争によりウクライナ内部の事情は情報統制がなされるようにもなった。ウクライナの戦時体制についておおよその見通しは持っているが、十分な資料的な裏付けを行いづらい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査は断念せざるを得ないため、ポーランドのような周辺諸国での調査を一度行う予定のほか、文献資料での調査が中心にならざるを得ない。戦争が進行中のため、当初の予定とは異なり、戦争関連の文献の収集も進める。
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