研究課題/領域番号 |
18K01483
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
川村 陶子 成蹊大学, 文学部, 教授 (80302834)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 国際関係論 / 文化政策 / ドイツ / 日本 / 文化外交 / 移民統合 / 多文化共生 / 文化交流 / デジタル化 / 教育政策 / 国際文化関係 / 移民・難民 |
研究実績の概要 |
本研究では、多様な文化的背景をもつ〈ひと〉が交錯する国際社会の安定と創造的発展のための政策実践のあり方を、ドイツの経験にもとづき総合的に検討する。異なる政策分野で行われる文化の伝達・交流・振興を、国際関係の文化的運営行為として調査分析し、新しい理論枠組みの構築にもつなげていく。 2022年度は大きく3つの形態で研究にとりくんだ。 第一に、ドイツにおける国際文化関係運営の政策実践に関する歴史的分析である。西ドイツ時代を中心とする対外文化政策の展開を国際文化関係運営の発展史の中で分析・考察し、大部の論文を完成させ、東京大学大学院総合文化研究科に提出し審査を受け、論文博士号を取得した。当該論文の後半では国際文化関係運営の政策が狭い意味での「文化外交」をこえて展開している状況を検討し、当助成研究で2021年度に提唱した理論枠組み「文化関係政策(cultural relations policy)」の有効性を確認した。 第二に、国際文化関係運営の最新状況の調査である。2023年3月、3年ぶりにドイツ出張をおこない、公的文化交流機関ゲーテ・インスティトゥートがコロナ禍以降に国内で展開しはじめた文化交流事業の現場を視察した。マンハイム、ボン、ドレスデンの国際文化教育センター、ミュンヘンの本部、ベルリンの「亡命ゲーテ・インスティトゥート」を訪問、エーベルト事務総長や各事業の責任者・担当者にインタビューをおこなった。帰国後にはオンラインでレンツ総裁と面談し、研究全般に対する助言もいただいた。 第三に、21世紀ドイツの国際文化関係運営の規定要因となってきた移民・難民の受け入れと社会の多文化化の検討である。移民のセキュリティ化とそれへの対応を総合的安全保障の観点から分析・評価する論文を執筆、出版した。 なお当該年度は当初の助成期間最終年度であったが、コロナ禍の影響をうけて研究期間を延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プロジェクトのテーマであるドイツの国際文化関係運営の政策実践を、当初計画時点よりもさらに総合的な視点で歴史実証的に検討し、成果を学位論文の形で公表できた。 コロナ禍で滞っていた現地状況の調査も再開し、ドイツの国際文化関係運営を現場で実践、統括する立場の方々との意見交換をふまえて研究の方向性を確認、展望することができた。 21世紀におけるドイツの国際文化関係運営の規定要因であり、日本をとりまく国際文化関係を考察するうえでも重要な参照軸となる、移民・難民のセキュリティ化とそれへの対応について分析、考察できた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は助成期間最終年度となる。これまでの研究成果を総括するとともに新たな情報を補いながら、ドイツにおける国際文化関係運営を総合的に分析・考察し、成果を適切な形で公表していきたい。 2022年度に執筆した東京大学学位論文は改稿し、学術書として出版することを目標とする。また、これまで主に調査してきた対外文化政策系統の実践主体に加え、関連の他分野で国際文化関係運営の実践に携わるドイツの諸主体について、可能な範囲で調査をおこなう。とくにさまざまな主体の連携に焦点をあて、9月にポツダムで開催予定の「連邦インタークルトゥーア専門会議(Bundesfachkongress Interkultur)」を中心に、国際文化関係運営をめぐる官民・分野横断的な議論や協力を分析したい。ドイツと日本の国際文化関係運営比較についても、学会報告等の形で適宜検討の機会を設ける予定である 全体として、助成期間終了後の研究の方向性も見据えつつ、ドイツの国際文化関係運営の歴史的意義、現況、将来展望を整理したい。
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