研究課題/領域番号 |
18K01484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
稲田 十一 専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中国の援助 / 国際援助体制 / 北京コンセンサス / インドシナ諸国 / カンボジア / ミャンマー / 中国モデル / 一帯一路 |
研究実績の概要 |
本研究で焦点をあててきたのは、中国の経済協力(援助・融資)の拡大が開発途上国の経済社会や政治外交にいかなる影響を与えているのかという点であり、特にカンボジア、ラオス、ミャンマー等の中国の経済協力の影響が大きいインドシナ諸国を事例として取り上げながら、以下のような論点について検討することであった。①拡大する中国の経済的プレゼンスや対外援助の実態把握、②中国の援助拡大とその東南アジアへの経済社会的インパクトの評価分析、③中国の援助拡大とその東南アジアへの政治外交面でのインパクトの評価分析、③中国の援助の国際援助コミュニティとの非協調の持つ意味と功罪、④「中国型開発モデル」「北京コンセンサス」の定義とその国際的影響。 これらの論点を具体的に検証するために、東南アジアで異なったコンテキストにあるものの、中国の援助の影響力が拡大してきた国々を事例として取り上げ、実証的に検証した。具体的には、2020年1月にすでに「ドナーとしての中国の台頭とそのインパクト-カンボジアとラオスの事例」(金子芳樹・山田満・吉野文雄編『「一帯一路」時代の ASEAN』所収)と題する論文を執筆・公表したが、2022年度は、『専修大学社会科学研究所・社会科学年報』第56号(2022年3月)に「カンボジア開発過程への中国の影響-国際援助協調の衰退と権威主義化の連動の分析」の論文を掲載・公表し、また、2022年10月に日本国際問題研究所の研究会にて「途上国のインフラ開発と日中の現状--国際的ルール・枠組みづくりの重要性」と題する報告を行い、2023年3月に同名の論文を報告論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で実施予定であった、中国の経済協力(投資・融資・援助)が拡大している東南アジア対象国での現地調査は、2020年度2021年度はコロナ感染症の継続的な蔓延と渡航規制などのためなかなか実施できなかったが、2022年後半から徐々に渡航可能な状況となり、2022年5月に東ティモールの現地調査を実施し、中国企業が関与する港の建設事業や日本の円借款事業(国道1号線)などを実査・ヒアリングしたほか、2022年12月にはカンボジア現地調査を実施し、中国の融資・投資・援助事業について関連機関を訪問・実査し情報収集するとともに、近年のカンボジアの経済発展にともなってカンボジアのコミュニティに生じている政治経済社会の変化について、三つのコミュニティの長と村民にインタビュー調査を実施した。カンボジア現地調査の成果の一部は、2023年4月に公刊された、阿曽沼邦昭編『カンボジアの近代化』の所収論文「カンボジアの近代化と社会変容(第3章)」の論文でもとりまとめ公表した。 このように、コロナ感染症の広まりによって実施できなかった東南アジア地域での現地調査もようやく実施でき、調査実施と成果のとりまとめに当初計画で想定した以上の時間を要したが、調査研究・成果のとりまとめはようやく佳境に入りつつある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、本研究の最終年度である。東南アジアを中心とする中国の経済協力事業が相手国の政治・経済社会に与えるインパクトや国際開発援助体制全体に及ぼしつつあるインパクトについて、これまでの資料収集やヒアリング調査、東南アジア各国の現地調査と比較分析を踏まえた暫定的な結論を論文としてとりまとめる。そして、関連研究者や有識者との研究会や内外の学会での報告を通じて意見交換しコメントなどを得て、最終的な結論につなげていく予定である。2023年7月にはIPSA(世界政治学会)の国際学会(アルゼンチン・ブエノスアイレス開催)および2023年8月にISA(米国国際関係学会)の国際学会(東京開催)で、カンボジアを中心に、これまでの研究成果の一部を学術論文の形で公開するだけでなく、より広い議論の展開につなげるために、最終的には可能な限り出版をめざす。
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