研究課題/領域番号 |
18K01489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 剛 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10308059)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 米中争覇 / 日米中関係 / 覇権 / 戦略的あいまい性 / QUAD / 米中関係 / 日中関係 / 米中戦略経済対話 / 海洋安全保障 / 保護主義 / 自由主義 / 同盟 / 軽い同盟 / 米中戦略対話 / 大国間関係 |
研究実績の概要 |
2022年度は本務校からサバティカルを取得し、当初海外で研究生活を送る予定であったが、コロナ禍の影響で年度前半はそれがかなわかった。年度後半から韓国、台湾、香港、米国、豪州と短期的な出張を何度か行い、特に豪州についてはある程度長期滞在が可能となった。米中関係は、一方ではG7サミット、QUAD、AUKUSといったサミットでの非難声明、そしてIPEFといった新しい経済枠組み形成によって中国への批判、デカップリングの推奨が叫ばれているが、他方で2022年の米中貿易額は過去最高を記録しており、言説と実態との間に乖離が見られる。 中国には訪問できない状況が続いたため、中国以外に訪問して中国事情についえt収集するのが、今年度の実態であった。とは言うものの、オンラインによる日中対話、日米中対話には参加して研究報告を2度行い、QUAD関連の論文を一本執筆することができた。 その他、海洋安全保障についての研究報告を米国、豪州で行うことができた。この中には、訪問先主催のものもあれば、元来日本で開催すべきものを私が海外からオンラインで参加するものも二つあった。いずれにせよ、「力による現状変更」が通常事態となった今日の国際関係において、どのような対処方法が存在するかを検討するものである。 その他、まだ途中段階であるが、国際関係や外交の構造変容と、一般の人々の生活様式とがどのように関連しているかについて、共著論文を作成中である。これについては、本年度中に仕上げる予定であったが果たせず、次年度への課題となった。国際政治や外交の変化は、実際のところ人々の日常生活に大きな影響を及ぼすことを明らかにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一に、コロナ禍による理由が大きい。年度前半は、海外にまったく赴くことができず、ネット上での情報や、来日する人々との意見交換に頼る以外になかった。 第二に、年度途中の家庭の事情による。これにより、3ヶ月ほど研究の中断を余儀なくされた。徐々に回復してきているが、まだ途上である。
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今後の研究の推進方策 |
米中関係は、トランプ政権の誕生によって経済摩擦が激化し、バイデン政権の誕生によって政治的な懸隔が明らかになってきた。当のアメリカもこの20年ほど国内政治状況が分裂状況にあり、議会と大統領府との間で意見の食い違いが目立っている。 このような米中争覇の現状と背景を検証するため、以下の3点を考えている。第一に、日米中関係の推移を示す概説書を執筆すること。中国のここ30年の経済成長・大国化は言うまでもないが、日本の国力の弱体化、アメリカの覇権の相対的低下、台湾問題の今後の展開等、長期的推移について記しておくべき論点は多々存在する。 第二に、最近の米中関係の変容についてである。中国の大国化は、アメリカに対してのみならず、近隣諸国全体に大きな影響を及ぼしている。特に、アメリカと中国との間に挟まれていて、自国・自地域の動向を簡単に定められない東南アジア諸国、自由党政権の対米重視政策によって中国との関係を悪化させたオーストラリア、中国による一帯一路政策の推進によって経済が混乱したスリランカ、中国と人民元貿易を始めた中東諸国等、これまでアメリカが築いてきたリーダーシップを切り崩す動きが出てきている。こういった近年の動向をサーベイする。 第三に、上でも書いたが、国際関係の急激な変化により、我々の日常生活も変化を余儀なくされている。急激な為替レートの変化、サプライ・チェーンが滞ったことによる物価上昇、異次元金融緩和がもたらしたインフレと金利の上昇といったことから、我々の生活様式も変化しつつある。このような「国際関係」と「生活」という観点から報告書を書くことを考えている。
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