研究課題/領域番号 |
18K01503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
武岡 則男 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80434695)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 時間選好率 / 金額効果 / 異時点間の選好逆転 / 認知的最適化 / 時間割引 / 利他性 / 加法分離性 / 異時点間選択 / 自制と意思決定 / マグニチュード効果 / 主観的最適化 / 多重自己 / 公理的分析 |
研究成果の概要 |
本研究では、現在の自己が将来の自己へ利他性を持ち、その共感の割り振りという認知的最適化によって異時点間の割引関数が決定されるモデルを考察した。この仮説の背後にある実験事実は、将来の大きな利得ほど割引されにくい傾向を示す金額効果である。将来自己への共感仮説に基づけば、将来利得が大きいほど、現在の自己が将来の自己に共感する誘引が強まり、結果として忍耐強さが発揮されると考えられる。一方、将来の自己への共感は、現在の利己性を抑制する点で、心理的負担を伴う作業でもある。本研究では、このような利得と費用の最適化という認知プロセスを経て割引関数が決定されるという仮説を選択行動の観点から基礎付けた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で提案した異時点間の意思決定モデルは、標準モデルから逸脱した選択パターンを説明できる柔軟性と同時に、取り扱い易さ・応用可能性とのバランスが重視されている。特定された効用関数は比較的少ない数のパラメータで同定可能である。本研究の意思決定モデルは金額効果を動機として考案されているが、非定常性, 動学的非整合性なども統一的に説明することができる。言い換えると、これまで別々に実験・説明されてきた金額効果や非定常性などの背後に、将来の自己への共感と認知的最適化という通底した意思決定プロセスが存在する可能性を示唆している。同様の考えを、リスクと認知的最適化の関係などへ拡張することが期待できる。
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