研究課題/領域番号 |
18K01509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
春山 鉄源 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (70379501)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 所得分布 / パレート分布 / 経済成長 / 技術進歩 / Gini係数 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
(1)代表的な所得分布の指標としてGini係数があり,所得分布全体に関しての指標となる。一方で,既存研究では,所得分布のある部分に着目し,所得ランキング上位1%や5%の家計が占める所得の割合や,所得ランキング下位40%が占める所得割合を考える場合がある。しかし,この2つのタイプの指標がにのような関係がり,2つを結びつける経済メカニズムは知られていない。この点を克服するために,イノベーションによる成長モデルを構築し,理論的に上述の関係が内生的に発生するモデルを完成させジャーナルに投稿した。 (2)所得分布の右裾はパレート分布に従うことが知られているが,既存研究では幾何的ブラウン運動をブラック・ボックスとして機械的に適用することにより分析を進める。本プロジェクトでは幾何的ブラウン運動のミクロ経済学的基礎を展開し,利潤のパレート分布が内生的に発生することを示すことができた。 (3)上の2つの研究は所得分布についての研究であるが,3つ目におこなった研究は資産分布に関する分析である。所得はフローの概念であり,高所得を得ていても何らかのショックにより低所得に瞬時に移行することもある。またその逆も然り。一方,資産はストックであり,資産が大きく変化するには時間が掛かることになる。この点を考慮し,次のモデルを展開した。資産制約に直面する消費者には3つのタイプがる。(i)労働者,(ii)利潤を得る起業家,(iii)利潤を得ないが研究開発に従事する起業家。(i)は一定の資産を持ち,(ii)は資産が増加し,(iii)の資産は減少する。(i)の資産を基準とする相対資産に着目すると,定常状態では(i)の資産はディラックのデルタ関数で定義され,(ii)と(iii)の資産はパレート分布に従う。資産分布は研究開発の生産性や所得税に依存することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年2月から評議委員として仕事することになった。全学の会議への参加と部局からのフィードバックなどを通じて本部と部局をつなげる重要な役割を果たすことなった。更には,全学評価F D委員会の委員として評価の仕事に時間を割かれたのも否めない。全学的に今年度からは,法人評価の少し前から動き始めるのではなく,毎年,詳細な資料の作成・保存が求められるようになったためである。また評議員として「その他」の仕事(詳細は削除)も追加的に加わったのも事実である。これらの理由が研究期間の延長の申請の主な要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
上述の(1)の論文は投稿中であり,返信が帰ってき次第,結果に従い修正・再投稿を行う予定である。(2)の論文は関西マクロ研究会で報告し,有益なコメント・助言に基づき改良を重ねた。その結果は研究ノートという形でまとめており,それを正式な論文としてジャーナルに投稿予定である。簡単な既存研究のサーベイを追加する必要がある。理論的な内容となるため,それに即したジャーナルを選択する予定である。また,このモデルは標準的なモデルの拡張版となるため,拡張し易い利点がある。可能であれば,2国の国際貿易モデルへと拡張し,貿易モデルでの枠組みで成長と不平等(所得上位Y%)の関係を分析する予定である。(3)については,基本モデルは出来上がっており,研究ノートにまとめている。経済成長と資産分布のより完成されたモデルに発展させることが可能だと思われる。簡単な既存研究のサーベイは必要である。また,研究開発に関する政策や税を取り入れることにより,資産分布への影響を考察することも可能だろう。それらを数値的に示すためにシミュレーションが有効だと思われる。移行過程の均衡ではなく定常状態でのシミュレーションとなるため,それほど複雑なコードは必要ないと思われる。
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