研究課題/領域番号 |
18K01525
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 甲南大学 (2020-2023) 大阪経済大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
宮川 敏治 甲南大学, 経済学部, 教授 (30313919)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | Incomplete information / Bargaining / Transparency / Learning / Misspecified beliefs / Pessimism / Delay of agreements / Wage bargaining / Labor union / Strategic alliance / Cooperative investments / Substitutive goods / Complement goods / incomplete information / outside options / transparency / labor unions / wage bargaining / cooperative investments / strategic alliances / bargaining / housing markets / interdependent values / labor union / union formation / cooperative investmens / monopoly / price negotiations / supply control / theory of monopoly; / bargaining game; / supply control; / pricing; / externalities; / delay / 非協力交渉ゲーム理論 / 価格戦略 / 競争戦略 / 情報の透明性 / 提携形成 |
研究実績の概要 |
不完備情報の下での非協力交渉ゲーム理論の研究では、売り手が2人で各売り手が1単位を不可分財を持ち、買い手が売り手の財を組み合わせて新しい財を生産する状況で、生産される財の価値が買い手の私的情報であるときの売り手の持つ財の売買交渉を考察する理論モデルの研究を行ってきた。昨年度は、このモデルで2種類の完全ベイジアン均衡を構築することにようやく成功したが、まだ、この2種類の均衡がどのような条件下で存在することになるのかを明らかにすることができていない。そのため研究成果の発表に至っていない。 一方で、2人のプレイヤーの間で協力の利益について楽観的なプレイヤーと悲観的なプレイヤーが存在する下で、その状況の認知の相違によって、状況学習のために、交渉の合意の遅れが発生する交渉ゲーム理論モデルの構築に成功した。この研究は定理の証明等は完了しており、現在、論文のかたちにまとめている段階である。 近畿大学の清滝ふみ氏との非協力提携交渉ゲーム理論モデルを用いた賃金交渉と企業提携に関する2つの共同研究``Unified or separate wage bargaining without commitments to form coalitions''と``The option of sequential alliances for cooperative investments''は査読付きの学術雑誌に投稿を行っているが、あまり良い結果が得られておらず、改訂、投稿を繰り返している状況である。 最後に、この研究を進める上での研究資料の整理として「Gerardi, Maestri and Monzon (2022) “Bargaining over a Divisible Good in the Market for Lemons,” を読む(1)」を『甲南大学経済学論集』にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
売り手が2人で買い手が1人の不完備情報の非協力交渉ゲーム理論モデルの構築および均衡結果の考察の研究については、一昨年度はどのような完全ベイジアン均衡点が構築できるのかが不明な部分が残っていたが、昨年度に2種類の均衡を完全に構築できた点で大きな前進があった。ただ、まだそれぞれの均衡の存在を保証する条件が完全には分かっていないので、研究成果をまとめる段階までは到達していない。その意味で研究はやや遅れていると言える。 一方、昨年度新しく始めた協力の利益について2人のプレイヤーの間で認識の相違があり、その状況で交渉の利益を配分する交渉を行うモデルを構築し、そこで、認識の相違を解消するための状況学習のための合意の遅れやコミットメントについて考察する研究については予想外に研究が進み、すべての必要な定理等の証明が完了した。この研究は、できるだけ早く論文のかたちにまとめ、様々なところで研究報告を行いたいと考えている。 ただし、上に挙げたどちらの研究も査読付きの学術誌での発表という実績につながるまでには少し距離があるので、研究は「やや遅れている」と評価している。 既に論文としてまとめて、投稿を行っている非協力提携交渉ゲーム理論の応用研究の2論文についても、投稿している雑誌から良い返事をもらえていない状況である。この2つの研究についても、投稿の過程で改訂の必要が出てきているので、こちらも当初の予定より「遅れた」状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
売り手が2人で買い手が1人の不完備情報の非協力交渉ゲーム理論モデルの研究については、既存の研究で行われている存在証明の手法をもう一度精査して、できるだけ早く2種類の完全ベイジアン均衡点の存在条件を明らかにしたい。買い手の私的情報である財の価値が高い確率と低い確率の初期条件で特徴づけができそうだというところまで分かっているので、力を注ぎたい。 認識の相違のあるプレイヤーの間での交渉ゲームモデルの研究については、大阪経済大学の花登氏と共同研究することになったので、研究打ち合わせの機会をより多く持って、完成につなげる予定である。 清滝ふみ氏との非協力提携交渉ゲーム理論の応用研究については、査読付き学術誌に投稿した際に、改訂要求まであと少しのところまでくるようになってきているので、もう少し改訂して早く再投稿するようにしたいと考えている。改訂に必要な補足的な定理の証明や数値例の用意は既にできているので、時間を割くことさえできれば、すぐに再投稿はできると考えている。
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