研究課題
基盤研究(C)
最終年度である2023年度は、研究課題である「ケインズのバーク受容」に関して、帝国(特にインド)観を中心に検討を進めた。その直接の研究成果は、「「バークとインド」はどのように論じられてきたのか?:研究史から見えてくるもの」と題して、保守的自由主義研究会(2024年1月27日、於大阪公立大学)において口頭発表された。また、ケインズが最も高く評価したマルサスの著作の1つである『食糧高価論』に関して、論文「マルサス『食糧高価論』の公刊とその影響」(久松太郎氏との共著)を『マルサス学会年報』に掲載することができた。さらに、本研究課題の遂行を側面補強するスピンオフ的な内容の追悼論文“Hiroshi Mizuta (1919-2023): A Life in Search of the Origin of Democracy”を、国内学会および国際会議での口頭発表の後の加筆修正を経て、Revue d'Histoire de la Pensse Economique誌に掲載することができた。本研究は、6年間の研究期間全体を通じて、バークの哲学(美学)、貧困観・労働者教育観、帝国(特にアイルランドとインド)観という3つのトピックを焦点として、「ケインズのバーク受容」の実相に迫ろうとした。コロナ禍や予期せぬ持病悪化などの事情により研究の進捗状況が遅れ気味であったが、最終的に英語論文7点(追悼文を含む)、日本語論文8点(ブックチャプターを含む)、国際学会・会議での口頭発表5点など、期待以上の分量の研究成果を生みだすことができた。受容の実相の詳細については、資料の制約をなかなか突破できず、検討の余地が依然として多く残されてしまったものの、研究開始時よりは知見を大いに深めることができた。
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