研究課題/領域番号 |
18K01587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山村 能郎 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (60284353)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 不動産市場 / リアルオプション / ビジネスサイクル / リアルオプションモデル / 不動産開発投資 |
研究実績の概要 |
昨年度までは、複占市場におけるリアルオプションモデルによって、不動産開発の最適投資時点問題について理論モデルを構築を中心に考察している。従来の研究においては、不確実性の要因として背景にある不動産需要に着目した複占競争モデルであり、不確実性の存在が,開発時点を遅らせる一方で、先導者(リーダー)利益の獲得を目的に競争が開発を早める効果が存在することを明らかにしている。本研究では、収益に加えて費用も動的構造を持つ場合についての分析を行っている。開発・投資費用の不確実性も明示化したモデルによって最適時点を論じており、結果として、複占市場におけるオプションゲームにおけるリーダーとフォロワーの行動を記述し、均衡における特性について論じた。 先制的な開発を行うリーダーを前提にフォロワーにとって最適戦略である不動産賃貸料収入の相対価格となるトリガー値をシミュレーションによって明らかにしている。賃貸料のの不確実性が大きくなるとフォロワーの待機オプション価値が高まる。一方で、不動産賃貸料、開発費用の時間的な相関が高まるとリーダーは早期に開発を開始することを明らかにしている。また、フォロワーの最適開発時点とその時点における参入を条件として、バックワード解法によってリーダーの行動を考察した結果、初期時点で賃貸料が相対的に場合には、リーダー、フォロワーの関係がなくなり、開発が同時に行うことが最適となるケースが存在することも明らかにしている。一方で、賃貸料が比較的低い場合はリーダーがはじめに開発を行い、結果としてリーダー、フォロワーの順で投資を行うが、リーダーにとっての最適開発時点は、唯一解が存在することを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は感染症の状況も落ち着きつつあり、研究計画の内、不動産デベロッパーや不動産関連団体へのヒヤリング調査なども行うことができた。しかし、調査結果に基づいた統計的モデルの構築にまで至らず、シミュレーションにおける数値パラメータの設定、それに基づいて市場情報に基づくシミュレーションおよび妥当性の検証が十分に実施できなかった。そのため、研究計画の再延長をお願いしている。シミュレーションモデルを検討した後、不動産開発規制や不動産税制などが制度的変更に伴う政策評価を実施する。また、これらを取りまとめた研究成果について学会等で報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
不動産市場のブーム・リセッションを表現するために不動産開発業者に関する統計的モデルを推定し、それに基づいてシミュレーションのパラメータを設定する。その結果、より現実に即したシミュレーションを実施することが可能となる。そのため、不動産開発事業者、関連団体に対してのヒヤリング調査を継続して実施する その上で、不動産保有性および不動産開発規制等の政策変数をモデルに外生変数として取り入れたシミュレーションを行う。これらの政策変数は不動産の開発・保有費用を増大させるが、費用構造の変化が開発ブームとリセッションに与える影響を定量的に把握する。特に、不動産保有税は不確実性のない状況下では価格に対して中立的であるとの議論があるが、より現実的な状況下においても課税が中立的かどうか検証する。同時に、開発規制などの影響についても検討する予定である。 以上の研究成果について、日本不動産学会およびアメリカ不動産学会等の関連学会において適宜、報告を行うとともに、内外のジャーナルに投稿する予定である。
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