研究課題/領域番号 |
18K01640
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 学習院大学 (2021-2023) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 (2018-2020) |
研究代表者 |
久保 公二 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (00450528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2018年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ミャンマー / 非公式な外貨取引 / クーデター / 外貨供出 / 外国為替制度改革 / 外国為替管理制度 |
研究実績の概要 |
ミャンマーは2012年4月に管理フロート為替制度に移行し、それまでの形骸化した固定相場制度による二重為替レート状態を解消した。しかし、輸出企業が外貨収入を銀行に売らずに、国内居住者との相対(あいたい)取引を続け、しばしば外貨の売り惜しみが為替レートを不安定化させた。2020年時点でも銀行の対顧客取引高は民間部門の輸出入額の60%に留まった。そこで本研究は、なぜ輸出入業者が外貨預金の相対取引を続けていたのかの解明を目指した。 しかし、2021年2月の軍事クーデターを機に改革が後戻りし、企業間の相対取引を分析する意義も変わったため、本研究はミャンマーの外国為替市場の推移の整理を行った。クーデター後のおもな政策は、輸入規制強化(輸入ライセンス制の再開とライセンス発給制限)、中央銀行参照レート(公定レート)の固定化、輸出企業に課された外貨供出、の三つである。これらは、燃油などの必需品の輸入に割り当てる外貨を確保して物価の安定を図るものであったが、結果的に公定レートを実勢レートから乖離させ、公定レートでの外貨供出の実質的な課税効果など、経済に歪みをもたらした。その後、輸出企業に課された外貨収入の供出割合は2022年4月の100%から段階的に35%まで引き下げられ、2023年12月からは、市場価格での銀行対顧客取引も認められるようになった。 クーデター後の軍政による規制強化で本研究が注目したのが、輸出入企業間の外貨預金の相対取引に関する規制である。外貨供出の導入後も、供出対象外の輸出獲得外貨について相対取引は認められたが、回数が一回に制限され、かつ相対取引で外貨を購入した輸入企業にも30日以内の使用が課された。この規制は、円滑な経常勘定取引を維持しつつ、資産需要での外貨の保有を制限する効果が見込まれる。以上のように本研究はクーデター後のミャンマーの規制強化による課題と前進点を整理した。
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