研究課題/領域番号 |
18K01913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三浦 敬 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (50239183)
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研究分担者 |
張 櫻馨 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (70404978)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 費用と収益の対応 / マッチング / 収益認識 / 資産負債アプローチ / 収益費用アプローチ / 費用収益の対応 / アナリスト予測 |
研究実績の概要 |
2018年4月に日本は国際財務報告基準第15号をベースに作成された「収益認識に関する会計基準」を公表した。その影響の大きさを見据えて、本研究は2018年度から4年間の研究プロジェクトを策定し、費用と収益の対応関係という観点から新しい収益認識基準がもたらす影響を分析しようと考えた。 当初、先行研究をレビューした上で、実証分析に移ろうと計画していたが、先行研究をレビューしているうちに、費用と収益の対応関係は、収益と費用を認識するタイミングに対する概念というよりも、会計基準設定機関(もしくはその機関に影響力を有している関係者)の考え方によって大きく変化することが明らかとなった。また、そのような変化は当時の企業を取り巻く経済状況にも関連していることが判明した。そこで、研究課題に優先順位を付けて、まず歴史的な視点から費用と収益の対応関係の変化を包括的に点検することに研究計画を微調整した。というのも、ここで得られた見解は、本研究の土台になるからである。 5年目に入った2022年度には、1920年代にさかのぼって、先行研究、基準設定機関とそれに所属するメンバーの変化などに関する文献・資料を収集し、費用と収益の対応関係に関する見解の変化を丹念にトラッキングすることに力点を置いた。膨大な文献・資料に基づいて、収益と費用の対応関係を会計基準の萌芽期、収益費用アプローチの普及期、資産負債アプローチの挫折と再浮上に分類にした上でまとめた。 これらの内容に、さらに実証的に費用と収益の対応関係を検証した先行研究を付け加え、基準設定機関やアカデミアなどの見解と、現状(データ)を分析した結果とのギャップを確認しようと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歴史的な視点から、収益費用アプローチと資産負債アプローチのぞれぞれが費用と収益の対応関係に与える影響を把握するため、まず、1920年代からFASB(米国財務会計基準審議会)が設立される1970年代までの資料・文献を収集した。しかし、必要としている文献・資料の年代はあまりにも古く、その収集は必ずしも順調とはいえなかった。インターネットを通じて中古本を購入したり、海外から取り寄せたりして、想定以上に時間と手間がかかった。また、日本語に翻訳された資料は、組織の名称や専門用語が現在使われている訳語と異なったりする場合も多々あった。その整理は困難を極めた。 資料・文献は発表年代順に入手できるとは限らないため、とりあえず、手元にあるものに基づいて、分析可能な部分から着手し、資料・文献をトラッキングできた段階でさらに内容の確認・修正を加えるという形で論文を作成している。なんとか計画通りに進めている。 現在、FASBが創立された1970年代まで分析が完了し、その結果をいくつかの節にまとめ上げている。今のところ、明らかとなったのは、収益費用アプローチと資産負債アプローチの支持者はそれぞれ異なる問題意識を持ち、検証を進めてきた。研究の着眼点と検証の手法が異なるにもかかわらず、その結果を単純に比較してきた。本来、まずそれぞれのアプローチの優劣をを明らかにした上で、現状に合わせて最適な方法を選択しなければならない。これらのプロセスを通じて、市場関係者の認識を集約していくべきであったが、アカデミアの間も、実務家も自らの主張に固執する傾向が見られた。これが今になっても共通認識が得られない原因の1つと考えられる。 上述をもとに、来年度は実証研究の結果をレビューし、文献研究から得られた知見と実証研究の結果を突き合わせて、新たな示唆を得られればと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を立てた当初は、費用と収益の対応関係の変化は会計基準設定に携わる関係者の利害関係によってここまで振り回されていたとは予測できなかった。また、先行研究をレビューしているうちに、日本では収益費用アプローチ、資産負債アプローチの視点から、費用と収益の対応関係を俯瞰し、時系列に包括的に点検する論文が存在していなかったことに気がづいた。そこで、研究計画を拡充し、実証研究に加えて、年代順に資料・文献をトラッキングするという歴史的な視点からの文献研究を行うことにした。 文献研究は1920年代にまでさかのぼって行うため、文献の収集と、その内容を日本語と英語で相互確認する作業に時間を要した。来年度も同じ課題に直面すると予想されるが、1920年代から1970年代に必要な資料をほぼ入手できたため、昨年度よりもスピーティに研究を進められると考えている。 6年目は作成中の文献研究を完成させたいと考えている。
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