研究課題/領域番号 |
18K01943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
川島 健司 法政大学, 経営学部, 教授 (80406652)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 統合報告 / 財務会計 / 財務報告 / 非財務情報 / 会計用語 / ディスクロージャー / 自然資本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、 企業情報開示の枠組みである統合報告に着目し、その非財務情報の質的特性とその情報利用者に対する効果を明らかにし、統合報告実務の実態と在り方を学術的観点から検討・評価することである。研究期間の延長年度にあたる本年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究の遂行に遅れが生じた。特に本務校におけるオンラインを利用した講義の準備と実施、及び部分的に再開した対面授業への対応に時間が割かれたことにより、本研究に費やす時間が制限された。 こうした中で、当年度においても前年度から継続して統合報告の制度と実務、およびこれらに関する学術研究の動向を幅広く観察した。具体的には、東京証券取引所の業種分類(33業種)に基づき、各業種で売上高の上位3社の統合報告書における記述内容を整理・分類している。また、学術研究については、会計学の研究領域から拡張し、いわゆる制度派組織論を基礎にした議論を俯瞰した(統合報告という概念がどのように経済界に流布・普及しているかという問題に対し、その流布・普及の過程でどのような翻訳、編集、解釈がなされているかという視点から説明を試みた議論)。 さらに、統合報告実務における非財務情報として、定性的記述に用いられる会計用語の特性について理解を深めるために、統合報告実務において高い頻度で用いられる「収益」という用語の分析を前年度に引き続いて行なった。第2年度・第3年度に提示した会計用語の起源特定化のための分析枠組みに基づき、その使用法の変遷に関する歴史的な分析を継続して行った成果として以下の論文を公表した。 (論文)川島健司(2022)「『収益』という用語の定義は、なぜ多様に存在するのか」『會計』(第202巻, 第1号)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により、本務校における対面講義の休講などの措置が講じられた時期には、オンラインを利用した講義の準備と実施に時間を要し、これに伴い当初に計画していた本研究を一時中断および延期することを余儀なくされた。また、対面講義が再開された時期には、従来とは異なる新たな授業方法の模索に想定以上の時間を要した。 本研究の具体的な課題は、日本企業の非財務情報は何がどのように開示されているか(開示実態の分析)、非財務情報の質はどのように評価できるか(質的特性を評価する枠組みの検討)、日本企業の非財務情報の質はどの程度か(情報内容の評価)、日本企業の非財務情報は投資家に対して有用か(情報内容の有用性の分析)、日本企業の非財務情報の内容と効果は、海外諸国と比較してどのような特徴があるか(開示実務の国際比較分析)を明らかにすることである。昨年度に引き続き、日本企業の統合報告の実態を観察し、そこで開示される非財務情報の内容を基礎的データとして記述・整理することを試みている。基礎的データの収集作業は未だ継続中であり、不本意ながら上述の分析に移行できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年4月において、新型コロナウイルス感染による研究活動への制限・影響は軽微になった。引き続き安全・安心確保に最大限努めながら、本研究を本格的に再開し、研究の進展と成果の報告を目指したい。研究時間の適切なコントロールを中心とした活動方針を改めて検討し、引き続き本研究の活動に積極的に取り組む。 前年度までに、会計用語の起源特定化のための分析枠組みに基づき、統合報告実務において高い頻度で用いられる「収益」という用語 について、その起源と使用法の変遷に関する分析を行い、当該用語が現在の財務報告実務でどのように用いられているかに関する分析を実施した。これを統合報告の実務に分析範囲を拡張した調査を行う予定である。また、いわゆる制度派組織論を基礎にした議論(統合報告という概念がどのように経済界に流布・普及しているかという問題に対し、その流布・普及の過程でどのような翻訳、編集、解釈がなされているかという視点から説明を試みた議論)にもとづく観察と考察も併せて行ないたい。 本研究の最終年度として、これまでに調査した内容をまとめるとともに、論文および学会報告を通じて積極的に発信することを目指していきたい。
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