研究課題/領域番号 |
18K02101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
白瀬 由美香 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50454492)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 共生型サービス / 生活構造 / 高齢者 / 障害者 / 地域 / ケア |
研究実績の概要 |
共生型サービスは、介護保険および障害福祉サービスにおいて、高齢者、障害児者などの多様な利用者に対して、同一の事業所で一体的にサービスを提供する。特区や基準該当により同様のサービスは既に部分的には導入されていたが、2018年に介護保険制度および障害福祉サービスに新たなサービス類型として創設された。本研究は、地域に住む人々の生活構造を踏まえて、この共生型サービスがいかに普及していくのかの様相を追い、課題を探ることを目的とする。 2023年度は、第一に生活構造と高齢者介護・障害者福祉サービスの関係を探る一環として、自治体から許可を得て入手した介護保険サービス、障害福祉サービスに関するデータ、質問紙調査の個票データの二次分析を引き続きおこなった。分析の結果、高齢者のインフォーマル・サポートに関しては、地域に参加組織のあることがサポート提供意向に強い影響を持っていること、サポート受領希望には、単身世帯であることや主観的健康状態・経済状態の悪さなどが関連していることが明らかになった。 第二に、厚生労働省の「介護サービス情報の公表システムデータのオープンデータ」で共生型サービスの指定に関する情報が含まれる2022年以降のデータを入手し、データベースを作成した。このデータは介護保険サービス事業所の所在地や法人種別に関する情報を含んでいるため、介護サービス種別ごとに地理的分布や運営主体の特徴などについて、2年間の指定事業所数の変化をたどることができた。2022年11月に共生型サービス費の請求があった介護保険サービス事業所数は合計1056であることが厚生労働省から公表されているが、その当時に共生型の指定を受けていた事業所は通所介護事業所だけでも3000近く存在していた。そこから、共生型の指定を受けた介護保険サービス事業所の多くでは、実際には共生型サービスが利用されていない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は共生型サービスや類似するサービス提供を行っている介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所の訪問調査を通じて、参与観察やインタビューによるデータ収集をおこなう予定であった。けれども、新型コロナウィルス感染症の影響はまだ残っており、サービス事業所に赴いて参与観察などをおこなうのは必ずしも容易ではないように思われたため、訪問調査の協力事業所の選定を慎重に進めることとした。調査依頼先の検討にあたり、厚生労働省の「介護サービス情報の公表システムデータのオープンデータ」を入手し、介護保険サービス事業所で共生型障害福祉サービスの指定を受けている事業所を確認することから着手した。しかし、そのデータベース作成に予想以上に時間がかかってしまった。さらに、障害福祉サービス事業所で共生型介護保険サービスの指定を受けている事業所に関する網羅的な情報は公表されておらず、自治体や個別の事業所のホームページなどで確認するしかなかった。先行研究や既存の調査報告書等で事例として取り上げられている事業所に関する情報はある程度把握できており、それらを踏まえて調査項目を精査し、調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間の再延長が承認されたことから、2024年度は共生型サービスや類似サービス提供を行っている介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所の訪問調査を行い、参与観察やインタビューによるデータ収集と分析をおこなう。2024年3月に公表された第9期介護保険事業計画に関する「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の個票データも協力自治体から新たに入手できたので、その二次分析も進めていく。地域の生活構造の一端を示す研究成果として、高齢者の支え合いへの意識に関する二次分析の結果を2024年6月に開催される日本老年社会科学会や東アジア社会政策ネットワーク(EASP)と国際社会保障研究機構(FISS)による国際学会で発表する予定である。これまでに学会発表した内容の論文執筆と学術誌への投稿にも取り組みたいと考えている。
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