研究課題/領域番号 |
18K02312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
荻原 克男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70242469)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 教育の政治的中立性 / 独立性 / 教育二法 / 地方教育行政法 / 中立性 / 教育政策 / 教育行政 / 教権の独立 / 教育の中立性 / 高校生の政治活動 / 1969年通知 / 2015年通知 / 教育行政の一般行政からの独立教育の中立性 / 教育行政の中立性 / 教育の自由 / 堀尾輝久 / 勝田守一 / 教育行政の独立性 / 政治的中立 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,国立国会図書館の検索システムを用いて,教育行政に関連して用いられた「中立性」用語の出現データ集積作業を行った。「中立(性)」が出現する時期ごとの回数確認とともに,同語が使用される文脈・意味を分析するためのテキストデータの作成を行った。 出現回数については,新たな立法提案がなされ,その審議がなされる時期に集中して出現する一方で,法の成立以後ではほぼ出現しなくなる傾向がみられた(教育二法や地方教育行政法教育など,提案された法案が教育の政治的「中立」性に関わる内容を有しているものであることは言うまでもない)。ただし,それ以外にも地方や学校現場での“事件”的な事例が取り挙げられる際に,出現する場合もみられた。 国会という特別な議論場所であるゆえに,やむを得ない点もあるが,新法が成立してしまうと,それ以降は同語を使用しての議論がほぼ見られなくなってしまう。しかしながら,その間においても教育をめぐる政治的「中立」が問題となり,国会以外の社会的場面で議論が継続されていた可能性はある。 より重要なのは,「中立」の語が使用される文脈とそこでの意味分析であるが,この方面での分析については遺憾ながらあまり進捗はみられなかった。教育二法の審議内での意味内容,あるいは地方教育行政法の審議内での意味内容については,それぞれに相応の検討結果は得られた。しかし,率直に言ってそれらは,従来の立法過程研究が明らかにしたものと大差なく,本研究独自の成果とはいえないものであった。問題は,異なる法制度間の比較分析が進まなかった点にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
概要でも述べたように,「中立(性)」の語が使用される文脈とその意味内容について,かんばしい研究成果を得るにいたらなかった。その最大の要因は,異なる法制度間における同語の意味についての比較分析の方法が見出せなかった点にある。 第1に資料的な側面での問題が考えられる。国会審議録という特定の媒体内でのみ検討することの限界性があるのかもしれない。国会以外の場面でも,教育における「中立」性が問題となり,同語が社会的に使用されていた可能性はあり,それらとの比較検討を行う余地があったと思われる。 第2は分析枠組みの問題である。いくら資料を集積しても,それらを整理し,意味づける分析枠組みがなくては有効な成果を生み出すことはできない。イデオロギー研究に関する新たな動向を追跡してみたが,いまだ消化不良のままで,応用に至っていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
前の理由欄にも書いたように,今後の推進策として2つの方向での改善を試みる必要がある。 第1に,国会審議録の言説データについての分析を追加すると同時に,それとは異なる社会的場面にまで対象を広げて(雑誌,新聞等),語の使用例を収集・分析することである。 第2は分析枠組みについてのさらなる検討である。言説・イデオロギー分析に関する欧米の研究動向を参照すると同時に,わが国における関連先行研究についても方法論的な検討を行う。
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