研究課題/領域番号 |
18K02341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2021-2022) 弘前学院大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
生島 美和 帝京大学, 教育学部, 准教授 (80535196)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 震災遺構 / 語り部活動 / 地域学習 / 地域博物館 / 防災学習 / 震災伝承施設 / 語り部 / 棚橋源太郎 / 防災教育 / 郷土博物館 / 郷土教育 / 青い目の人形 / 地域防災 / 被災経験 / 記憶の継承 |
研究実績の概要 |
本研究では、住民の生活課題・地域課題に向かい合う学習・研究活動を育み、支援していく教育機能を持つ博物館を「地域博物館」ととらえ、そこで「地域防災」という課題をどのように扱いうるかを明らかにすることを目的としてきた。 東日本大震災から10年が経過し、被災地では防災教育の拠点として、震災遺構や震災伝承施設が整備されてきている。これらは博物館法に基づく博物館とは言い難いものの、震災遺構を含む実物資料と、地域住民の語りべ等の活動により、震災経験を語り継ぎ、地域で起こりうる災害に備える学びが生み出され続けようとしている。そこを訪問する人々、およびそうした人々を受け入れる住民同士のプラットフォームになることで、防災教育のみならず、地域学習の拠点として機能していると捉えられた。 特に本年度は、震災遺構を基点とした住民の学習活動について、特に語り部活動を通じた来訪者との交流・対話の場づくりに着目し、その意義を明らかにしようとした。フィールドとした宮城県山元町の震災遺構では、震災以前から町内で活動する学習グループを母体にしつつ、震災後の復興・地域づくりに向かおうとする住民の学習活動と結びついていた。そしてそうした学習活動は、遺構そのもののみならず、それが存在する地域の、歴史や産業、住民同士のつながりや祭礼、そして震災後の住民の暮らしや思いを住民自身が調査・探究する地域学習と言えるものである。 さらに、震災遺構という場が来訪者も含めたリアルな対話の場となることで、震災経験という「知」の交流と創造が行われ、「語り継ぐ」「当事者として受け止め行動につなげる」防災学習が生起していると捉えられた。こうした学びは、地震や自然災害のみならず事故や戦争といった厄災を扱う教育の意義やその内容・方法への示唆も得ることができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夏期に予定していた調査がコロナ拡大により延期することになったり、本研究以外の業務に多くのエフォートを割く必要が生じたりしたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度は、次の2点について予定している。 一つは、本研究の立脚点となる防災思想について、地域博物館論の源流に位置づく棚橋源太郎の理論形成に着目する。特にその背景にある棚橋自身の被災経験及び教育活動に基づいて防災思想を描き出すことにしたい。資料などはそろえられてきているものの、いまだ完成には至っていないため、本研究課題の根幹として論文化することにしたい。 もう一つは、今年度の研究成果を受けつつ、残された課題として、語り部を聞き、受け止める側の学びがいかなるものなのか、ということである。これまでは語り手に注目してきたが、聞き手に注目することで、対話を通じた学びに必要な前提や環境がいかなるものなのか明らかにすることにしたい。
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