研究課題/領域番号 |
18K02423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大塲 麻代 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (30578828)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 理論研究 / 文献調査 / 執筆活動 / 学会発表 / 論文執筆 / 研究会参加 / 無認可校 / 認可校 / カリキュラム / スラム / カリキュラム改革 / 低学費私立校 / 無認可学校 / 公立小学校 / ケニア / 低学費私立学校 / 多様化 / 基準化 |
研究実績の概要 |
コロナ禍において、2021年度は前年度に続きフィールド調査の実施はできなかったものの、理論研究と執筆活動を精力的に実施した。執筆の成果としての論文は、『国際教育協力論集』第24巻第1号29-45頁(https://cice.hiroshima-u.ac.jp/wp-content/uploads/2022/03/4a6eff4ec21d93fb45a60e0bb421fe04.pdf)や、Africa Educational Research Journal, Vol.12, pp.63-72(https://www.jstage.jst.go.jp/article/africaeducation/12/0/12_63/_article/-char/ja)で公開されている。また、理論研究を進める中で、学校の機能や役割を再考し「学校知」とは何かを捉え直した。この成果は『アフリカ研究』第100号61-66頁で、国内のアフリカ教育研究課題として投稿している。上記に加え、ZOOMによる研究会や学会、セミナー等に参加し、幅広い意見交換とともに知見の共有を行った。
低学費私立校(low-fee private schools)については、近年脱国家的なグローバル展開の動きを見せる営利団体の積極的な関与が報告されており、新自由主義の思想が教育分野にも強く働いていることが刮目される。他方、グローバル・ガバナンスの時代において、SDGsのゴール4に記載されているように、あらゆる状況の子どもを教育から排除しないインクルーシブな教育実践は、多くの国において教育政策に反映されている。このように、官民両方の強い力学が働く学校教育現場において、調査対象校は無認可学校として今なお制度外に位置づけられている。公立校だけでは満たすことのできない教育のニーズと学習者の多様性に着目し、無認可低学費私立学校の政策への受容がいかに可能となるのか、引き続き探求したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の特徴はフィールド調査であり、ケニアへ渡航し学校訪問や家庭訪問をとおして、インフォーマル居住地域の無認可学校についてそのニーズや実態を明らかにすることを研究目的としている。しかし、2020年度、2021年度と2年間、世界的感染症の流行(CODIVー19)によりフィールド調査が実施できていないため、当初の計画より研究はかなり遅れている。本研究に関しては、コロナによる世界的渡航規制が始まる直前の2020年2月にフィールド調査を実施したのが最後である。それ以降フィールド調査が実施できていないことから、2022年3月終了予定の科研期間を1年延長し、2023年3月終了とした。
今後であるが、研究計画段階では予測し得なかった感染症による学校閉鎖はケニアも例外ではなく、学習者のみならず、学校自体にも多大な影響が出ていると推察される。特にインフォーマル居住地域に立地している本研究の対象校は、学校財政基盤が元々脆弱であったが、コロナ禍で学校が閉鎖され、学費による学校収入源が断たれたことから、学校運営は一層厳しくなっていると推測できる。新たな研究課題として、コロナ前と比較した無認可学校の実態調査が必要であると感じている。
現時点では文献調査と理論研究を進めることが現況下においてできることではあるが、可能な限りの情報収集と執筆活動を続けながら、フィールド調査の時期を見極めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍にあっても徐々にフィールド調査を再開する動きが見られ、調査地のケニアでも、ワクチン接種証明書の提示により入国が可能となり、入国後の隔離措置も撤廃されていることから、渡航と調査は可能な環境に戻りつつある。学校も既に再開されている。以上より、状況を見てフィールド調査を今年度中に実施したいと考えている。具体的には、2週間程度調査地を訪問し、2020年2月に調査したナイロビ市内のマザレ地域において、コロナによる学校閉鎖は学校自体にいかなる影響をもたらしたのか(例:学校の閉校、学校財政、児童数や教員数の増減など)、学校の追跡調査を実施したい。また、隣接する公立校も訪問し、公立校との比較から、感染症による学校閉鎖がインフォーマル居住地域の学校にもたらした影響についても比較検証したい。
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