研究課題
基盤研究(C)
本研究は、注意欠如・多動症を抱える児者が生じやすいとされる、将来的な予後不良を予防することを目指し研究が開始された。これまでの先行研究にて、予後不良へのプロセスの全貌が明らかとなり、児童期の社会的機能(学習習得度、適応機能、学校不適応)の低下が影響をすることが分かってきた。しかしながら、児童期における社会的機能の低下に影響を及ぼす予測因子は明らかにされていない。そこで、本研究では、本邦にて運営がされている大規模出生コホート研究を用いて、それらの解明をするべく、研究を進めてきた。研究代表者の身分変更に伴い1年間余での中途終了となったため、予測因子の特定及び成果発表等を行うことはできなかったが、コホート運営の継続、各種データの取得を行うことができた。加えて、参加者らに対し、注意欠如・多動症の評価スケールであるADHD-RSを施行し、6歳時点における注意欠如・多動症の傾向の把握、男女比、幼児期における神経発達の特徴などを割り出すことに成功した。本助成事業における本研究は中途終了となったが、本研究で用いた大規模出生コホートの運営は継続される予定である。今後は、注意欠如・多動症と併存しやすいとされる自閉スペクトラム症や限局性学習症など他の神経発達症との鑑別をしつつ、注意欠如・多動症の児童期における社会的機能の低下を及ぼす要因を、当該施設の研究協力者と連携をとりつつ、引き続き、本研究計画を遂行する予定である。