研究課題/領域番号 |
18K02491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 日本大学 (2021-2023) 目白大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
日暮 トモ子 日本大学, 文理学部, 教授 (70564904)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 保育所 / 幼稚園 / 母親 / 子育て意識 / フレーベル / モンテッソーリ / 養育の社会化 / 幼小連携 / 家庭教育 / 子ども観 / 幼保二元化 / 幼保二元体制 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦前の日中両国における保育所の成立と展開にみられる特徴を、近代以降、育児の主たる担い手とされた母親の役割の変容から明らかにすることである。両国は、海外から幼稚園制度を導入し、その一方で、貧民や労働者の子弟のための保育所制度を構築、発展させていった経緯がある。福祉事業としての保育所制度の成立及び展開の過程において、教育事業としての幼稚園制度の展開との相違点や、家庭における母親の役割についての語られ方について、比較史の視点から検討するものである。 期間全体の業績としては、日中両国の保育制度史の先行研究、専門家から聞き取り、現地調査から、戦前の両国におけるフレーベル式とモンテッソーリ式の保育思想の展開の違いを捉えることができた。また、戦前の両国の就学前制度は幼保二元体制がとられていたが、戦前中国の保育事業の展開では、教育的機能とともに福祉的機能を併せもちながら発展してきた保育施設が存在し、それが戦後の保育制度の展開へと継承されている点があることを確認した。さらに、戦前の日中両国での子育て環境におけるメディアが少なからず、両国の家庭教育、母親の子育て意識に影響を与えていたことが分かった。 近年、家庭の経済的格差によって就学前段階での幼児の学びに差が生じないよう、日中両国ともに子ども一人ひとりの発達や福祉的側面を重視した保育制度・子育て支援制度改革が進められている。とくに中国の場合、戦後初期の国家の再建期において、家父長制の家族制度の廃止、男女平等が提唱される中で、しだいに女性の就労や子育てに対する支援が課題となり、それがその後の幼稚園・保育所制度の整備へとつながっていった経緯が認められた。婚姻形態の変化、女性や母親の就労の拡大、経済復興などを背景に、家庭や社会のニーズに応じた、福祉的側面がより強調された様々な就学前保育・教育施設が誕生することになったと考察した。
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