研究課題/領域番号 |
18K02599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 (2019-2022) 就実大学 (2018) |
研究代表者 |
安久津 太一 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00758815)
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研究分担者 |
中西 裕 就実大学, 人文科学部, 教授 (30413537)
山田 美穂 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (30610026)
岡田 信吾 就実大学, 教育学部, 教授 (80645276)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 音楽教育 / 実践的研究 / 重度重複障害児 / 伝統楽器 / 動き / フロー観察法 / 代替評価 / 障害感 / ICT / フロー / 身体表現 / 重度重複障害 / ユニバーサルデザイン / 電子テクノロジー / 学際的なカリキュラム / ナラティヴ研究 / 学際的な音楽活動 |
研究実績の概要 |
ICT・伝統楽器・動きを用いた重度重複障害児のための音楽教育に関して、以下の成果を残すことができた。第一に、ICT・伝統楽器・動きを用いた重度重複障害児のための音楽教育の実践的モデルの開発である。具体的には、電子テクノロジーによる楽器や音源と伝統楽器の組み合わせ、さらに自発的に音や音楽により誘われる身体的な表現が融合的に創出される、音楽教育実践の先進的な方法論と実践的モデルを開拓することができた。特に進展した点として、研究チームが創発した電子テクノロジーの楽器と伝統楽器、さらに金属や木材など、音が出るモノ、素材を組み合わせた、融合的な音楽ワークショップを、幼児・児童対象で実施することができた点である。上述の多様な教材、音素材を一つの音楽活動に少しずつ含有することが、障害の有無に関わらず、異なる興味関心や音楽経験、背景を有する他者を繋ぎ、関わり合いや参加を促す要因となることが概ね特定できた。 第二に、機器開発の側面で一定の成果を収めることができた。クラブDJなどが使用する複数のボタンを巧みに操作して演奏を創出する機器を簡易化し、音楽の知識や技能に依存せず、音楽のフレーズが演奏できるツールを開発することができた。この分野は、特に分担者である中西が担当し、チームで複数回実践を試行し、検証作業を積み重ねた。グリッドコントローラの活用、大型スイッチ、いわゆるビックボタンの導入、LEDによる光支援の導入などに加え、ビジュアルプログラミング環境とスイッチインターフェイスを活用することで、失敗に寛大で、特にミスをしても演奏が継続できるシステムを開発した。 さらに、特別支援教育、臨床心理学を専門とするそれぞれの分担者が、実践や機器開発の状況を観察、文脈もあわせて捉え、特別支援学校での実践も視野に入れた検討がなされた。総じて実践と機器、双方の開発をチームで進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ICT・伝統楽器・動きを用いた重度重複障害児のための音楽教育に関して機器開発、実践的モデルは概ね順調に明示することができた。特に機器開発と実践的モデルの部分では、国内外の論文投稿を積極的に行い、学会でのデモンストレーションも含め、機器のモデルや事例を発信・報告することができた。しかし、本研究課題の進捗状況としては、やや遅れているとの判断に至った。特に、以下課題が残された。 第一に、特別支援学校を含む学校園での実践の試行と検証作業が予定していたよりも遅れてしまったことである。これは、主に、新型コロナウイルス感染症の社会的な影響が要因として挙げられる。国際論文への投稿はすでに行ったが、現在まだ査読中となっている。 第二に、共同研究者が研究拠点を移したことに起因し、動き、すなわち身体表現を融合させる試みが若干遅れたことは否めない。今後、新しい生活様式下での研究及び実践の進展が期待される。一方で、遠隔教育システムを活用した実践への展望が開けたことは、副次的な本研究の成果として挙げることができるだろう。 第三に、当初の予定では、最終年度に実践を共有するワークショップを含む学会発表などを試みる予定でいた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、発表の機会を逸し、計画が遅れた。論文の発表とあわせて、学会での発信が、翌年の課題として残された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本プロジェクトの最終行程と位置づけ、ICT・伝統楽器・動きを用いた重度重複障害児のための音楽教育に関する知見を整理し、最終的な現場での検証、及び研究成果の現場での還元や国際論文での発信を行うこととなる。特に特別支援学校を含む学校園での実践と実践の供覧を含む学会発表、論文の完成を計画的に進める、本研究は実践的研究の性格が強く、データはほぼすべて実践の文脈に埋め込まれていると考えられる。また情報教育、特別支援教育、音楽教育、臨床心理学という、異なる専門性が融合する、貴重な研究チームが醸成されてきたところである。中でも実践面では、電子テクノロジーと伝統楽器、身体表現と、異なる表現媒体が融合することにより、多様な参加形態を促進することも示してきた。国内の学校園の現場で、知見を共有しつつ、さらに実践的モデルの精度を高めることが研究の最終段階の主眼となる。
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