研究実績の概要 |
高等学校学習指導要領解説では, 「生物の体内環境の維持について観察, 実験などを通して探究し, 生物は体内環境を維持する仕組みがあることを理解させ,体内環境の維持と健康との関係について認識させる。」とされている。しかし, 現行のすべての教科書では, ホルモンの分泌による体内環境のしくみはイラストレーションで示されているのみで, 実物の生物教材はほとんど例がない。本研究では, メダカの稚魚から産卵開始前後の性ホルモンの分泌による卵形成を可視化した教材を開発し, それを活用した発展的探究活動を考案して実践することを目的とする。 今年度は, 性成熟までの成長過程におけるメダカの卵巣構造および卵母細胞の発達段階が安定的に推移する標本を得るため, 孵化後から生後20日後までの仔稚魚が個体間で差が少なく成長する条件を再検討し, その条件を見出した。また, 生育した稚魚を用いて, 孵化後から20日までの成長段階ごとの雌の組織切片標本の作製方法(固定・染色方法)を検討した。より初期から卵母細胞の発達段階の推移を観察した結果, 孵化後20日目までの稚魚において, 卵母細胞の発達段階に伴った細胞構造の変化が観察された。卵巣構造及び卵母細胞の発達段階の変化は形態的に識別できるため, 成長段階から卵巣の発達段階を認識することが可能であると考えられる。よって, 孵化直後から性成熟までの過程で, 卵巣内の卵母細胞の発達段階にも着目した卵巣の発達段階を可視化する教材を作製できると考えられる。
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