研究成果の概要 |
本研究では, 和歌山県内における空間放射線量率を測定し, 和歌山版線量マップを作成した。その結果, 建物やトンネル中で高い線量(約0.1μSv/h)が得られた。一方, 海上では線量の値がほぼ0μSv/hとなった。このことから, 建物やトンネル内では建材や岩石に含まれる放射性物質が強く影響し, 海上では水によって多くの放射線が遮られることがわかった。さらに, 都市部や山地など高度による放射線量の違いも観測された。特に, 和歌山県内で最も高い山である護摩壇山山頂で放射線量を測定した結果, 0.075μSv/hという値が得られ海岸付近(0.03-0.04μSv/h)に比べやや大きい値となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中学校や高等学校の先生が理科の授業で放射線を扱った実験を行うことがあるが, 環境放射線を扱った実験はあまりない。今回, 身のまわりの放射線をマップにし, 授業で生徒に紹介することで放射線を身近に感じさせることを試みた。さらに, 放射線の源を考えることにより, 科学的な興味をもたせることも行った。 これらの実験を通して放射線の正しい知識を身につけることができると思われる。そして, 福島原子力発電所の事故以来, 多くの情報の中で子ども達に正確な知識をどのように伝えていくのか, 模索していきたい。
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