研究課題
基盤研究(C)
研究代表者らが開発を行ってきた安全文化評価・向上プログラムは,事前質問紙法と事前面接調査法を用いて産業組織の安全文化上の課題を明らかにし,対策活動計画の策定を支援する(対策ディスカッション)。続いて定期的に対策活動の進捗を確認し,必要に応じて活動計画の修正の助言を行う(モニタリング調査)。さらに,再度質問紙と面接調査を実施し,活動の効果測定と残された課題の把握を行う。本研究課題は,このプログラムにおいて,立案・計画された対策活動を阻害する種々の要因を探索し,それら阻害要因と当該組織の文化の関係をアクション・リサーチ型の研究によって明らかにすることを目的とした。当初は研究計画通り,事前質問紙・面接調査によって対象組織の安全文化上の脆弱点を明らかにし,対策ディスカッションとモニタリング調査に進んだ。しかし途中で新型感染症拡大とそれによる対象組織を取り巻く状況の大きな変化により,対策に関する各種活動が停止した。本研究は数年に渡り縦断的に同一組織を対象とすることが核心的なポイントであったため,研究期間を延長し調整を続けたが,再開出来なかった。そこで,本研究期間と過去に複数の組織で実施した安全文化評価・向上プロジェクトの結果を対象に,活動の阻害要因について分析を行った。その結果,一部職位への活動負荷の集中(丸投げ,熱心さによる空回り,業務属人化など),改善対象の限定(ルールや慣習,マネジメントは前提であり,変えられるもの・変えるべきものと見做し難い),学習性無力感,プロジェクトの早期効果要求,自社・正社員に限定したシステム構築,偽装請負指摘の過度な回避,人や組織特性への不理解などを阻害要因として抽出した。組織文化研究において縦断的調査は重要であるが,社会的・経営的変化が激しい状況であることを考慮し,今後は横断的方法で研究を展開することを検討したい。
すべて 2024 2022 2021 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
小型機と安全運航
巻: 112 ページ: 28-33
巻: 113
労働の科学
巻: 76 ページ: 765-766
Japanese Journal of Applied Psychology
巻: 46(Special edition) ページ: 29-37
130007932448