研究課題/領域番号 |
18K03082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
菅村 玄二 関西大学, 文学部, 教授 (80511724)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 姿勢教育 / 立身姿勢 / 前傾姿勢 / イス / クッション / フォースプレート / 持続的注意 / 構成主義 / 身体性 / メタファー / 人間工学 / 感性評価 / 姿勢 / 座位 / 着座 / 立腰教育 / 重心動揺 / 身体心理学 / 授業行動 / 体動 / 注意 / 観察 / 動作 / 身体化認知 / 身体教育 / 感情制御 / 注意制御 |
研究実績の概要 |
背筋を伸ばしやすいようにサポートする座面と背もたれのクッションを装着した「立身イス」を用いて実験を行った。これは姿勢研究では,「直立」姿勢と呼ばれ,背中を丸めた「前屈」姿勢よりも相対的にポジティブな感情価を示すことが判明している。一方,筆記するなどの作業時には,背中を丸めずに前のめりになる「前傾」姿勢のほうがバイオメカニカル的にも自然であり,この姿勢は注意や関心といったポジティブ感情を反映し,また生起させることも先行研究から示されてきた。そこで,2022年度は,立身イスのクッションを通常通りに装着して直立を促す「後傾座面条件」と,前後逆向きにして前傾を促す「前傾座面条件」と,同じ生地で平たいクッションを装着した「水平座面条件」を設定した。そのうえで,主観的な気分を評定させ,キーボードを用いた持続的注意課題を実施し,その成績と重心変化を指標とした。 その結果,条件間で有意差が認められたのは主観的気分のみで,前傾座面条件が他の条件に比べてポジティブな感情価を示した。注意課題および重心変化には有意差はなかったものの,注意散漫を表す指標は,前傾座面のほうが後傾座面条件よりも値が小さく,効果量も中程度に近い値を示した。いずれの結果も,前傾姿勢を促す前傾座面は,注意を要する課題には適していることを示している。サンプルサイズが小さく(11名),一般化については慎重を期す必要があるが,課題や作業内容に応じて「前傾」姿勢が適切な場合もあることが示唆され,その意味では,「良い姿勢」とは文脈依存的であることを示唆する結果と言える。立腰教育で協調される姿勢や立身イスがサポートする「直立」(立身)姿勢は,ある意味,姿勢を整える際のホームポジションであり,構成主義セラピーで強調ような座位姿勢の「センタリング」として捉えたほうが実際的かつ生産的ではないだろうか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1については予定通りに完了できたが,研究2はコロナ禍により小学校でデータを取ることができなくなり,研究3・4についても,シールドルームでの対面実験が行いにくい状況が続いていたため,計画通りに実験を進めることができなかった。2022年度は社会経済的状況も落ち着き,大学でも原則対面授業となったことから,少人数ながら個別の対面実験を行うことができた。もっとも,これまで実験が十分に行えなかったため,元々予定していた社会性に関する指標についてはまだ検討が進んでいないが,その代わり,立身姿勢を実現するクッションに関しては,当初の予定よりも詳細なデータを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が落ち着いている間に,必要な実験を実施していきたいと考えている。
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