研究課題/領域番号 |
18K03082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
菅村 玄二 関西大学, 文学部, 教授 (80511724)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 姿勢教育 / 身体性 / イス / 生涯教育 / 立身姿勢 / 前傾姿勢 / クッション / フォースプレート / 持続的注意 / 構成主義 / メタファー / 人間工学 / 感性評価 / 姿勢 / 座位 / 着座 / 立腰教育 / 重心動揺 / 身体心理学 / 授業行動 / 体動 / 注意 / 観察 / 動作 / 身体化認知 / 身体教育 / 感情制御 / 注意制御 |
研究実績の概要 |
これまでは,小学生,中学生,高校生,大学生を対象に,姿勢教育について主に定量的な実証研究を行ってきた。2023年度は,姿勢教育の射程を学校教育だけに留めず,生涯教育の観点から幅広い年代にまで拡げて定性的なデータも集める調査研究を行うとともに,姿勢教育の背景にある身体性を重視する認識論についての理論的研究を行った。 調査は,2023年5月28日と11月12日の10時から16時半まで,大阪府の千里中央公園の1000RE SCENESのLABOにて「イスの体験会」の一環として行われた。参加者のほとんどは,来園時に近くに立ち寄り,調査者により声をかけられ,協力に同意した者であった。子連れでの参加もあり,未就学児から70歳代の幅広い年齢層までが含まれた。背筋を伸ばしやすくサポートする座面と背もたれのクッションを装着した「立身イス」を座ってもらい,所定の調査票に回答を求め,インタビュアーが聴き取りを行う形式を取った。 2日間を通して,45名中44名(98%)が普段のイスと比べて座り心地に違いを感じ,そのうち40名(89%)が「わりと感じる」から「非常に感じる」と回答した。また,45名中42名(93%)が快適と感じ,そのうち36名(80%)が「わりと快適」から「非常に快適」と評価した。インタビューでは,臀部や腰部が支えられて姿勢が安定するといった声が多く,腰痛が軽減する,イスの違いが実感できておもしろいといった回答も見られた。子どもの姿勢の悪さを気にしたり,授業等で姿勢が安定しやすいイスを探したりしているといった語りも得られた。総じて,このイスは「心地よい違和感」を生じさせる特徴をもっており,子どもから高齢者までのほとんどの人にポジティブに評価され,生涯教育の視点をもった姿勢教育の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画書に沿って,イスによって実現される姿勢が報酬分配や苦痛共感に及ぼす影響を調べるために予備的なデータを収集したところ,当初,想定していた向社会性への影響はきわめて限定的である可能性が示唆されたため,研究計画を修正する期間とした。
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今後の研究の推進方策 |
向社会性の指標については,少人数を対象とした姿勢介入による実験研究では検出力が不十分と推測されたため,サンプルサイズを大きくしたうえで,普段の特性的な姿勢(蓄積姿勢)と向社会性との関係を捉える調査を実施し,本研究の方向性そのものの妥当性を検証する。また状態的な姿勢の即時的な効果を調べる実験では,これまでよりも長時間の座位時間を設定した介入研究を行い,姿勢教育により変化しうる指標を改めて検証し直す。
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