研究課題
基盤研究(C)
近年,高校生の抑うつの深刻さが問題となっている。特に,定時制高校生の抑うつは,全日制高校生よりも高く,対人関係や学校生活に困難を感じて定時制高校あるいは通信制高校を選択している青年も多い。しかしながら,定時制・通信制高校生を対象とした心理的介入については十分検討されていない。そこで,本研究では,定時制高校および通信制高校において,学級規模で実施する抑うつ予防プログラムの開発と効果検討を行った。その結果,本プログラムでは,ソーシャルスキルやネガティブな認知の改善がみられ,抑うつについても一定の効果が得られた。また,プログラムの臨床的有用性についても肯定的な結果が得られた。
本研究は,わが国で最初の定時制・通信制高校生を対象として学級規模の抑うつ予防プログラムの効果および臨床的有用性を検討した研究であり,定時制・通信制高校における有効な心理的支援の方法を具体的に提案できたといえる。特に,量的な効果検討に加えて,マニュアルやワークシートの開発を行ったことや生徒のプログラム参加率や主観的評価の検討を用いて介入の質の保証を目指した点で社会的意義は大きい。またウェイティングリスト群の設定によって効果を検討することで,学校現場においても比較群を設定して介入効果を検討を行った点,プログラムの長期的効果の検討を行った点については学術的にも意義があるといえる。
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