研究課題/領域番号 |
18K03160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
河瀬 雅紀 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 名誉教授 (70224780)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 心的外傷後成長 / 健康行動 / がん / 糖尿病 / 心理的適応 |
研究実績の概要 |
最終年度は、インタビューによる糖尿病患者への質的調査について7名を分析したところ、糖尿病罹患に伴う脅威が治療を人生の優先順位の上位に位置付けたことで健康行動を促進し、健康行動の継続が心理的適応をもたらし心的外傷後成長(PTG)の実感を高め、さらに健康行動を維持する円環的関係を見出した。また、PTGが健康行動に与える影響をみる質問紙調査は、新型コロナウィルス感染症の影響を排除するため令和5年3月より乳がん患者を対象に開始、最終年度も継続実施し分析を行った。得られたデータを乳がん罹患期間で1年~3年未満、3年~5年未満、5年以上の3群に分け、PTG下位因子、うつ状態、年齢、身体状態、病期を説明変数、健康行動を目的変数とし重回帰分析を実施したところ、3群のいずれもうつ状態は健康行動を阻害した。一方PTGについては、1年~3年未満ではPTGの他者との関係が、3年~5年未満ではPTGの人生に対する感謝が、5年以上ではPTGの新たな可能性が健康行動を促進した。 これらを含め期間全体で得られた実績は次のとおりである。長期生存している就労中のがん患者を対象にした質問紙調査の統計的分析から、PTGは健康行動、心理的適応および就労意欲を促進することを示した。また、良好な血糖値を長期に維持している糖尿病患者を対象としたインタビュー調査の質的分析からPTG、健康行動、心理的適応が相互に促進する円環的関係を見出した。そこで、調査対象者数を増やし乳がん患者に実施した質問紙調査の統計的分析からPTGは長期の健康行動を促進し、時期により促進に関わるPTGの要因が異なることがわかった。以上より、本研究ではがん患者と糖尿病患者においてPTGが長期の健康行動を維持し、その維持に心理的適応も関与していることを示した。なお、健康行動を促進するPTGの要素が罹患期間によりなぜ異なるかは今後明らかにすべき課題と考える。
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