研究課題/領域番号 |
18K03207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) 静岡大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
浅芝 秀人 大阪公立大学, 数学研究所, 特別研究員 (70175165)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 被覆理論 / 圏の擬作用 / グロタンディーク構成 / 次数付け / スマッシュ積 / 導来同値 / 2-圏 / 擬関手 / 圏の作用 / 2-同値 / 双圏 |
研究実績の概要 |
Gを群、Iを小圏、kを可換環とし、k-小圏 [微分次数k-小圏] 全体、それらの間の関手全体と自然変換のなす2-圏をk-Cat [k-dgCat] とおく。前年度において、導来同値の貼り合わせ理論を、以下のように微分次数k-圏に拡張していた。Iからk-dgCatへの余弱関手(colax functor) XとX’に対して,XのGrothendieck構成をGr(X)で表すとき、以下の(1), (2), (3)において(1)<=>(2)=>(3)が成り立つという定理を証明していた:(1)X’はXに標準的に導来同値である;(2)X'は、Xに対するI-不変傾部分余弱関手Tに擬同値である;(3)Gr(X)とGr(X')は導来同値である。ところが,(2)=>(1)の証明にギャップが見つかり,本年度は修正のため大幅に理論を拡張し,擬同値関手の代わりに擬同値両側加群の概念を用い,(1)<=>(2)の部分は次の形になった:以下の(a),(b)=(1),(c),(d)において(a)=>(b)=>(c)=>(d)が成り立ち,Xがkフラットなら(d)=>(a)も成り立つ:(a)X’-X-両側加群Zが存在し,その導来テンソル積がX’からXへの導来同値を与える;(b)X’のdg加群圏余弱関手Cdg(X’)からCdg(X)への1射が存在し,その左導来関手がX’からXへの導来同値を与える;(c)Xに対する傾余弱関手Tと擬同値X’-T-両側加群が存在する:(d)Xに対する傾余弱関手Tと2つの1射Cdg(X’)→Cdg(T)とCdg(T)→Cdg(X)が存在し,その左導来関手がそれぞれ,X’からTと,TからXへの導来同値を与える。以上修正して論文を投稿した。他に,前年度にG作用を持つ圏に対して,前被覆関手を系統的に導く,2関手を用いた統一的な定理を証していたが,これを応用して様々な前被覆関手を構成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的は、(i) 擬関手X,X': I →k-Cat に対して、Iの各元iに対する、X(i)とX'(i)の間の導来同値を貼り合わせて、それらのGrothendieck構成Gr(X)とGr(X')の導来同値を構成することと、(ii) 逆にI次数付き線形小圏BとB'の間の導来同値が与えられたとき、それらのI被覆の間に導来同値を構成すること、(iii) およびそれらの間の相互関係を調べることにあるが、3年度前からは(i)の構成を微分次数圏に拡張している。そのため線形圏に限定した意味では前進しているとはいえないかもしれないが、微分次数圏という重要な対象に対して理論を拡張でき応用範囲が飛躍的に広がった。また,本年度は,昨年度の証明のギャップを修正し標準的導来同値の特徴付けを擬同値両側加群の概念で与えることができた。また,被覆理論を応用するために,2関手を用いた系統的な前被覆の構成法も見つけていたが,その様々な応用を与えることができた。したがって幅広く目的を遂行するという意味で、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られている主目的に関する結果(両側加群による導来同値の貼り合わせ,およびCohen-Montgomery双対性の両側加群への一般化)の厳密な確認作業を継続し,論文として出版する。そのためにも,圏の階層を使う方法を用いて,適度2以上の圏(対象集合も対象間の射集合もある固定した宇宙の部分集合になっているとき適度1の圏とよばれるが、これはそれよりも大きい圏)についてもテンソル積の存在定理を一般化しておく。目的(iii)の、擬関手X: I →k-Cat に対して、X とGr(X)#I は同値になるかどうかという問題の解答にもこの方法を適用して整理し,論文にまとめる。さらに目的(ii)の問題を解くことに着手する。また,一般の小圏Iからの関手X: I → k-dgCatに対して求めた,Grothendieck構成Gr(X)の計算法の応用例を与える。これ以外に,2関手を用いる前被覆の構成法のさらなる応用を与える。
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