研究課題/領域番号 |
18K03341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
大島 利雄 城西大学, 数理・データサイエンスセンター, 所長 (50011721)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 超幾何微分方程式 / 多変数超幾何関数 / 積分変換 / middle convolution / 接続問題 / Stokes係数 / 不確定特異点 / カオス系 / 数式処理 / 国際研究交流 / 普遍開折 / 解析学 / 代数解析学 / 微分方程式 / 超幾何関数 |
研究実績の概要 |
今年度は,特に多変数の超幾何函数の一般的取り扱いについての進展がいくつかあった. 古典的なAppellの超幾何函数を例とする2変数超幾何函数に対して,局所解や接続問題を具体的に扱った.函数が満たす方程式を1階のPfaff系の形に変換し,KZ方程式とmiddle convolutionに基づいた積分変換の立場に加え,5次対称群による対称性と特異点でのBlowupに注目した計算を行った.より一般の高階の方程式も具体的に扱えるようになり,それらの計算が数式処理を用いて計算出来るようになった.重要な超幾何函数は対称性が高いが,対称性の高い高階のKZ方程式に対し,局所解の表示に必要な特殊関数の種類やその大域的性質を調べる手順を開発した.
middle convolutionと関連して線型常微分方程式の研究に極めて有効であったRiemann-Liouville変換は,多変数の超幾何函数の研究にも有効であったが,Dirichletの積分公式に基づいた本質的に多変数の積分変換を定義し,その逆変換も具体的に積分変換で与えた.更にGauge変換や多変数の座標変換などと組み合わせて,収束べき級数環におけるより一般の積分変換を定義した.これにより古典的な多変数の超幾何函数として知られているAppellやLauricellaの超幾何函数や一部のHornなどの不確定特異点型の超幾何函数も含めて統一的に扱えるようになり,満たす方程式の変換やKZ型方程式との関連を調べた.これらの結果として,最も基本的なAppellのF1を一般化した2変数の一般階数の超幾何函数を定義し,特異点での独立解や接続公式を導くために基本となる結果を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
rigidで不分岐不確定特異点を持つ常微分方程式の解として表せる超幾何函数の接続公式やStokes係数を具体的計算する手法を与えた論文が出版された. 多変数の超幾何函数を一般的に扱うのに有効な可逆な積分変換を新たに定義し,研究手法が大きく拡大された.この結果を論文にまとめて投稿した.
これらの結果を,国内のいくつかは国際的な研究集会で発表し,異なる手法で多変数超幾何函数を扱っている研究者と接点が出来て共同研究を行った.
超幾何微分方程式の研究における新たな結果に基づく数式処理での計算プログラムを作成し公開した.
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今後の研究の推進方策 |
多変数超幾何函数の研究は,多くの手法があり,様々な積分表示,KZ型のmiddle convolutionを用いた研究,A-超幾何函数の研究などがあったが,古典的な多変数超幾何函数でも簡単な例を除いてその大域的性質はほとんど明らかになっていない.新たに導入した積分変換はこれらをつなぐ役割を果たすと考えられ,F1を一般化した2変数超幾何函数を例として,古典的な例をカバーする一般論を構築していく.さらに,これらを元に多変数の不確定特異点をもつ超幾何函数についての研究を行う.
理論の進展と平行して開発していく数式処理のプログラムは,web上で順次公開していく.
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