研究課題/領域番号 |
18K03351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
津田谷 公利 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (60250411)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 波動方程式 / 爆発解 / 解の存在時間 / スケール因子 / 膨張宇宙 / 時間大域解存在 / 初期値問題 / 一様等方宇宙モデル |
研究実績の概要 |
標準宇宙モデルとして知られているフリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー時空における非線形波動について考察する.この時空の計量は一般相対性理論に登場するアインシュタイン方程式の厳密解の一つであり,一様等方的な物質分布のもとで膨張または収縮する宇宙モデルを表す. 本研究の目的は,解の爆発の条件,爆発解の存在時間の評価を明らかにし,さらに平坦な時空であるミンコフスキー空間の場合での既知の結果と比較することによって,宇宙膨張速度を表すスケール因子が非線形波動に及ぼす影響を解明することである. 本年度はまずこれまでに得られた爆発解の存在時間の評価を場合によっては改良できることを示した.非線形項が未知関数の冪乗であるタイプあるいは未知関数の空間変数に関する偏導関数の冪乗タイプの波動方程式について,等速膨張あるいは加速膨張に該当する場合,消散係数が1より小さいならば爆発解の存在時間が短くなることを証明した. 未知関数の時間に関する偏導関数の冪乗タイプについては,減速膨張,等速膨張あるいは加速膨張する場合,新たに見つかった臨界指数に等しいときの解の爆発が未解決であった.本年度この問題に取り組んだ結果,解の爆発を示すことに成功し,爆発解の存在時間の評価を求めることができた.新しい臨界指数に等しいときの爆発解の存在時間の評価は既知の臨界指数の場合の評価と同じである.これまでの結果と同じく,ミンコフスキー空間の場合と比べて解の爆発が起こりやすい.これらの結果をまとめた論文を学術雑誌に投稿し掲載が決まった. 次に加速膨張するドジッター時空を一般化した宇宙モデルの場合についても研究した.この場合,消散係数は定数にならず時間変数に依存し消散効果をもつ.解の爆発を示すことができ,爆発解の存在時間についてもドジッター時空と同じ評価が成り立つことがわかった.この研究成果は日本数学会の一般講演で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記で述べたように,未知関数の時間に関する偏導関数の冪乗タイプについて,未解決であった新しい臨界指数に等しいときの解の爆発を示せたことが大きい.さらに爆発解の存在時間の評価を求めることができ,評価は既知の臨界指数の場合と同じである. また,時間変数に依存した消散係数が有界である場合,新しい方法を開発して解の爆発を証明することができた.この方法は方程式のラプラシアンの係数を時間変数の関数として一般化した場合にも適用できる可能性があるからである.
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今後の研究の推進方策 |
消散係数が時間変数に依存する場合,本年度開発した新しい方法を,ラプラシアンの係数が時間変数に依存する方程式にも適用できる可能性がある.この研究を進め,評価の一般化につなげる.また,時間が経つにつれて消散効果がなくなっていく場合の方程式についても解の爆発条件および爆発解の存在時間の評価を求めていく.
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