研究課題/領域番号 |
18K03382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (30119656)
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研究分担者 |
内田 俊 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (60777986)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非線型境界値問題 / 集合値項を持つ偏微分方程式 / 強消散項を持つ波動方程式 / 二重非線型放物型方程式 / 複素ギンツブルグ - ランダウ方程式 / ミトコンドリア膨潤モデル / 複素ギンツブルグ・ランダウ方程式 / 複素ギンツブルグ-ランダウ方程式 / 二重拡散対流方程式 / L∞エネルギー法 / 非線形放物型方程式 / 集合値関数 |
研究実績の概要 |
(1) 未知関数の時間微分の冪乗項と空間微分に関する準線形項の二つの非線形項からなる放物型方程式をプロトタイプとする,バナッハ空間における二重非線型抽象方程式に対して,時間周期解の存在が示された.この抽象方程式に対する初期値問題に対しては既に多くの研究があるが,初期値問題に対する二つの非線形項に対する最良の構造条件と,ほぼ同様の条件下で,時間周期解の存在が初めて示された事は意義深い. (2) 我々の構築した非線形境界条件を持つ放物型方程式系の解に対する新たな比較定理を足掛かりにして,ある特殊な非線形境界条件の族 (C)_α ( 0 <α< ∞)が存在して,有界領域における藤田型方程式に対して次の事実が成立する事が示された.(i) (C)_0 は斉次ディリクレ条件,(C)_∞ は斉次ノイマン条件に対応し (ii) あるα_0>0 が存在して0<α<α_0 に対しては,(十分小さい)時間大域正値解が存在するが,α_0<α< ∞ に対しては,時間大域正値解は存在しない.この事実はα_0 が,全空間における藤田型方程式に対する,時間大域正値解の存在・非存在をわける非線形項の冪乗の臨界指数に相当する役割を担っていることを示す,重要な発見である. (3) 斉次ディリクレ境界条件を課した viscous Cahn-Hilliard 方程式の初期値問題の可解性が,従来の条件を大幅に緩和した化学ポテンシャルに対して示された.更に,方程式に含まれる複数のパラメータが零に漸近する時に,解が対応するそれぞれの方程式の解に収束する事が示された. (4) 上記の方程式に対する時間周期問題に関して,上記の事実(3)と同様の事実が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的蔓延のため,海外出張が不可能となり,国内出張も制限され,国内外の研究協力者との研究連絡が困難な状況が続いているため,当初予定していた研究計画に遅延が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究実績(2)における非線形境界条件の族を,より一般の族に拡張するとともに,αが臨界値α_0 に一致するときに,時間大域正値解が存在するか否かを決定する. (2)集合値項をもつ放物型方程式の可解性を従来のL^2空間の枠組みの理論をL^∞空間の枠組みに拡張することで,集合値項に課していたソボレフ劣臨界増大度の条件を外すことを目指す. (3) 複素ギンツブルグ・ランダウ方程式の定常解の存在・非存在を明らかにする.この際,複素数値を取る未知関数が実数値関数の複素定数倍で与えられる「定位相解」とそれ以外の「非定位相解」に分類し,特に「非定位相解」の存在・非存在を明らかにする. (4) viscous Cahn-Hilliard 方程式に動的境界条件を課した時に,斉次ディリクレ境界条件を課した時と同様な化学ポテンシャルに対して,初期値問題,時間周期問題の可解性を探る.
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