研究課題/領域番号 |
18K03394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉信 康夫 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90281063)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 公理的集合論 / 数学基礎論 / 強制公理 / 選択公理 / 凸集合 / 強制法 / Banach-Mazurゲーム / Banach-Mazur ゲーム |
研究実績の概要 |
(1)固有強制公理(PFA)とは、任意の固有半順序集合の任意のアレフ1個の稠密部分集合と同時に交わるフィルターの存在を主張する公理である。PFAは連続濃度がアレフ2であることを導くほか、集合論の標準的な公理系であるZFCでは決定できない多くの無限組合せ論的命題を決定することが知られており、集合論における重要な研究対象のひとつとなっている。本研究ではPFAやその類似の公理が、アレフ2閉に近い性質をもつ半順序集合による強制法によってどの程度保存されるかを継続的に調べている。今年度の研究では、強い意味で(ω1+1)戦略的閉な半順序集合による強制法によって、PFAのあるフラグメントがつねに保存されることを示した。これまでの研究によって、このタイプの強制法ではPFA全部は保存されないこと、また、このフラグメントは**戦術的閉な半順序集合による強制法によっては保存されない(しかしこれよりさらに少し弱いフラグメントは保存される)ことがわかっており、今回の結果はこれら従前の結果と好対照をなす。 (2)実ベクトル空間の任意の部分集合が極大な凸部分集合を持つことは、選択公理のもとで容易に示すことができるが、ベクトル空間の種類を制限することにより、選択公理のフラグメントを得ることができる。今年度の研究で、2次元空間に制限した同命題は、3次元空間に制限したそれより真に弱く、実際、ソロヴェイモデルと呼ばれる集合論のよく知られたモデルはこれらを分離する例となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べた通り、強制公理の保存に関しては研究の進捗があり、その意味では順調に成果を得ているが、前年度より書き進めていた論文にこの成果を盛り込むために論文の再構成や既に書いた部分の修正が必要となり、年度中に投稿まで終えることができなかった。また、選択公理のフラグメントについての研究も、興味深い成果は得られているものの、今後の研究でより多くの知見が得られるとの期待から、論文として成果を発表するには至っていない。このように、成果発表の点ではやや遅れが生じていると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
固有強制公理の保存については、これまでに十分な成果が得られているので、まずは論文を完成して投稿することを優先する。また、より強い公理であるマーティンの極大公理の保存については、難波強制法やこれに類する強制法の観察を通して、引き続き考察する。実ベクトル空間の凸部分集合に関する選択公理のフラグメントの研究については、まず3次元空間の場合のフラグメントの同定を目標とし、これができたらより高次、もしくは無限次元の場合について考察する。 研究の方法については、家庭の事情から、長期の出張が未だ難しいため、論文以外では、国内の研究集会を中心に成果発表や研究交流を行う。また、共同研究者とはネット会議による情報交換のほか、相互の訪問による共同研究も実施する。
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