研究課題
基盤研究(C)
量子系の制御に関する研究を行なった。熱浴とトンネル結合した二重量子ドット中の2電子スピン状態に注目しマイクロ波の振動電場によるコヒーレントな制御を考察した。Floquet 量子マスター方程式で解析し、制御パラメタの入れ方に非常に敏感であること、マイクロ波強度が大きくなると暗状態が実現することを見出した。また量子ドット中のフォノンとの結合の効果を考慮すると、通常の緩和過程に加え、マイクロ波振幅に依存した位相緩和現象、また非平衡フォノンに特有の新しいスピンダイナミクスも見出した。また微小な量子系の量子連続測定の反作用の効果や電荷測定により位相の情報を取得できることを見出した。
本研究で得られた知見により、量子ドット中の電子のコヒーレント制御の効果を高める指針が得られた。また今回考察した方法により量子ドット中のスピン・軌道相互作用の大きさを見積もるための条件を明らかにでき、スピンを用いた量子情報処理に向けて有益な知見が得られた。またマイクロ波の振幅の増大が、単に量子系の制御速度を向上させるだけでなく、暗状態の生成や位相緩和レートの増大、ラビ振動の飽和をもたらすなど様々な非線形効果をもたらすことを見出したことは、量子系の制御速度には原理的な上限があることを示し、今後の量子情報処理系の設計に関わる重要な知見をもたらした。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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