研究課題
基盤研究(C)
量子スピン軌道液体状態の発現にはハニカム格子とヤーン・テラー効果が必要十分条件なのかを研究の課題とし、そのモデル物質や比較物質の合成を光水熱合成法を用いて行った。歪んだハニカム格子を形成するBa系セレン酸化物(Ni、Co)の結晶育成を行った。光を照射せずに合成を行った場合、両物質で粉末又は球状成長した状態で試料が得られた。光を照射しながら結晶育成を行った場合、それらに混在する形で針状結晶の成長が確認された。これらの針状結晶を用いて配向試料を作成し磁性測定を試みた。Coを含む試料では磁化過程からハニカム格子面間に磁場を印加した場合、3T付近でスピンフロップ的な異常が観測された。
本研究で用いた水熱合成法で合成される物質は、磁性絶縁体以外にも誘電体や半導体等の分野でも用いられている物質合成法である。一方、水熱合成法で得られる単結晶は数百マイクロから数十ミリサイズが多く、改良発展した光水熱合成法ではより大きなサイズの結晶育成が可能になると期待される。本方法は良質な単結晶の育成、または単結晶化が可能であり、基礎研究分野における新規物理現象の発見だけでなく、機能性材料等の単結晶育成にも有効な手段であり、技術的・知的情報の蓄積等応用が様々な分野で期待できる。
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Applied Magnetic Resonance
巻: 52 号: 4 ページ: 411-424
10.1007/s00723-020-01295-x
120007035652