研究課題
基盤研究(C)
空間反転対称性の破れた結晶構造を持つ3d遷移金属シリサイドの電子状態とスピン状態の解明を行うためにFeSiの機械研磨した清浄面に対し、角度分解・スピン分解光電子分光測定を行った。明瞭な3次元バンド分散を初めて実験的に得ることに成功し、モデル自己エネルギーを使ったスペクトル関数解析を行った。結果、これまで報告してきた電子-電子相互作用の強度はバンド全体で小さいことが分かった。しかしながら、フェルミ準位近傍は、強いバンドのくりこみが捕らえられ、強い相関効果を示唆する。また、Γ-Xでの面内スピン構造を測定することができ、フェルミ準位近傍のバンドについてΓ点を挟みスピンが反転する様子をとらえた。
FeSiは、ありふれた元素の化合物であるが、3d電子系における近藤絶縁体として強い電子相関効果に対する研究が長年なされている。近年では、トポロジカル近藤半導体SmB6や同様の空間反転対称性が破れた結晶構造を持つCoSiなどの類似物質としても注目されている。結晶構造は構造は空間反転対称性の破れを持ち、スピン軌道相互作用(SOI)を顕在化させると考えられる。今回の成果のうち、電子相関効果の研究は、金属絶縁体転移や特異な温度による磁化率の変化の解明につながる。またバルクでの特異なスピン構造は、比較的軽元素である3d遷移金属化合物でも、系の対称性によりSOI効果が顕著になっている証拠である。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 13件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (17件)
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