研究課題/領域番号 |
18K03523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小泉 昭久 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (00244682)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 重い電子 / セリウム化合物 / 放射光 / コンプトン散乱 / 電子運動量密度 / 電子占有数密度 / 超伝導 / 重い電子化合物 / コンプトン散乱測定 / 電子構造 |
研究実績の概要 |
希土類元素を含む金属間化合物には「重い電子」状態を示すものが多く発見されており、強相関電子系の大きな研究分野を形成している。希土類の4f 電子は、高温では局在的であるが、低温において伝導電子との混成を通じて遍歴性を獲得する。このとき、伝導電子の有効質量が、自由電子に比べて非常に大きくなることから重い電子系と呼ばれている。 本研究では、Ce 系重い電子化合物である CeIn3 および CeIn3 を TIn2 (T = Co, Rh) で挟んだ構造をもつ擬二次元系層状物質 CeTIn5 を対象試料として、これらの系が示す「f 電子の遍歴⇔局在」、「磁性⇔非磁性」、「重い電子状態⇔超伝導」の変化に伴う電子構造の移り変わりを明らかにすることを目的とする。 R04年度には、CeCoIn5を対象試料とし、放射光によるコンプトン散乱を用いて、電子運動量密度分布の二次元再構成実験を行った。この試料は、温度:Tc=2.3K以下で超伝導を示す。今回の測定では、試料温度を ~2 K まで冷却することに成功し、超伝導状態におけるコンプトン・プロファイルの角度依存性を得ることができた。測定されたデータを用いて再構成解析を行うことによって運動量密度分布を導出し、更に、Lock-Crisp-West法による解析を適用することにより電子占有数密度を得た。これは、二次元測定の場合、フェルミ体積を観測面に射影したものに相当する。前回に行った同様の実験は、Tcより少し高温の非フェルミ液体状態において行ったもので、反強磁性揺らぎに起因すると考えられる構造が観測されているが、今回の解析結果から、超伝導状態では揺らぎの構造が消失していることが確認された。これは、超伝導転移に伴い超伝導ギャップが開いたために、揺らぎの構造が消えたことによる変化を観測したものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の全体的構想としては、Ce 系重い電子化合物(CeIn3、CeTIn5 (T = Co, Rh))が示す「f 電子の遍歴⇔局在」、「磁性⇔非磁性」、「重い電子状態⇔超伝導」の変化に伴う電子構造の移り変わりを明らかにすることを目的としている。 初年度には、今後の実験結果と比較するうえで、基礎的なデータを与えるものと考えられるCeIn3 において、4f電子の局在状態と考えられる室温と遍歴状態と考えられる低温(20K)で、放射光によるコンプトン散乱二次元再構成測定を行った。R01年度には、引き続きCeIn3を対象に、更に低温の反強磁性相(7K)と、参照物質として4f電子を持たないLaIn3について、コンプトン散乱二次元再構成測定を行った。また、擬二次元系層状物質の一つであるCeRhIn5について、局在状態と考えられる室温と遍歴状態と考えられる5Kで、同様の放射光実験を行った。R02年度では、SPring-8の2020A期課題においてCeRhIn5の反強磁性相について測定を試みたが、試料用冷凍器の不調のため予定していたデータは得られなかった。ただし、冷凍器の問題点であったバックグラウンド散乱の改善を行った。2020B期は、コロナ感染拡大の影響により、放射光実験の課題申請を見送らざるを得なかった。 R03年度には、低温(Tc=2.3K)で超伝導転移を示すCeCoIn5を対象試料として、室温の局在状態と低温の非フェルミ液体状態において測定を行うことができた。特に、非フェルミ液体状態においては、反強磁性揺らぎに起因すると考えられる構造が観測されていたが、R04年度に行った実験では、超伝導転移に伴い、揺らぎによる構造が消失することを確認しており、「重い電子状態⇔超伝導」の転移のメカニズムに関連した情報が得られたものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染拡大の影響もあって放射光実験の一部が遅れたため、期間延長を申請したが、現在(R05年度初)では、必要な実験は、ほぼ行うことができており、解析も進んでいる。既に解析を終えているCeIn3やLaIn3につては、成果をまとめて、論文を執筆中である。また、CeCoIn5についても、非フェルミ液体状態における反強磁性揺らぎに起因した構造、超伝導状態における揺らぎ構造の消失を観測しており、今後、超伝導メカニズムとの関連を考察し、成果公開・論文執筆を行いたい。
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