研究課題
基盤研究(C)
本研究では,2本足梯子構造を持つ銅酸化物ACu2O3の電子物性に関する研究を行なった.高圧合成法を用いて,MgをLiで置換したMg1-xLixCu2O3を作製する手法を確立し,Liの固溶限界をx = 0.12からx = 0.60まで大幅に拡大することに成功した.Li置換によってホールをドープすると,電子比熱の有限な寄与が現れるにも関わらず,電気抵抗率の温度依存性は絶縁体的であるという特異な振る舞いが現れることを見出した.これは,原子サイトの化学的な乱れによるものであり,Cu2O3梯子面内に非磁性イオンが導入され,ドープされたホールキャリアが局在化することに起因するものであることを突き止めた.
鉄系梯子型超伝導体と全く同じストライプ型反強磁性秩序を示す屈曲した梯子面を有する銅酸化物に関する研究を行なった.その結果,試料作製技術に関して,高圧合成法を用いることによって,従来困難であった高いホール濃度を実現する手法を確立した.また,広いホール濃度にわたって系統的な物性測定を実施したことによって,屈曲した梯子面を有する銅酸化物の電子状態に関する知見を得た.特に,原子サイトの乱れによって,ドープしたホールキャリアが局在化しており,この物質の電子状態に大きな影響を与えていることを明らかにした.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Physical Review B
巻: 101 号: 24 ページ: 245112-245112
10.1103/physrevb.101.245112
巻: 102 号: 3 ページ: 035104-035104
10.1103/physrevb.102.035104
巻: 99 号: 24 ページ: 1-7
10.1103/physrevb.99.245141